フェイスブックを企業PRに使うことの危うさ
最近、「フェイスブックをマーケティングで使う」という話題をよく耳にします。ソーシャルメディアの盛隆を見て、多くの企業が積極的に自社のPRに活用しようと考えるのはいわば自然の成り行きといえるでしょう。しかし、これは危険な状況であると言わざるをえません。
フェイスブックは個人と個人がつながるメディアであり、特定の知人とのメーリングリストのような使い方に向いています。いわば、個人による個人のためのメディアです。そこに企業が入っていくということは、同窓会に踏み込んで宣伝をするようなものです。
リンデンラボ社が構築した3Dの仮想世界コミュニティ「セカンドライフ」も、いっときお祭り騒ぎのように持ち上げられました。やはり「セカンドライフをマーケティングで使う」と注目され、多くの企業が取り組みましたが、それが使えないとわかった途端に以前から楽しんでいたユーザーを無視して「セカンドライフは死んだ」と叩く声が多く聞かれました。同じようなことがフェイスブックでも起こるかもしれません。
本質から目を反らし、ブームに流されたままでいると、いつか「ソーシャルメディアは死んだ」と言われる日も来ることでしょう。
次回は、ソーシャルメディアをマーケティングで使うことがどれほど難しいかについて説明します。私たちが12年をかけ、300社のクライアントとともに実施した1万を超える施策を足場に、企業が抱える事情や難しさを踏まえ、その複雑な現状から逃げないよう話を進めていきたいと思います。
【編集部からのお知らせ】
武田隆著『ソーシャルメディア進化論』が
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当コラムの筆者、武田隆氏(エイベック研究所 代表取締役)の新刊が7月29日にダイヤモンド社より刊行されます。
本書は、花王、ベネッセ、カゴメ、レナウン、ユーキャンはじめ約300社の支援実績を誇るソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である武田隆氏が、12年の歳月をかけて確立させた日本発・世界初のマーケティング手法を初公開した話題作です。
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序 章 冒険に旅立つ前に
第1章 見える人と見えない人
第2章 インターネット・クラシックへの旅
第3章 ソーシャルメディアの地図
第4章 企業コミュニティへの招待
第5章 つながることが価値になる・前編
第6章 つながることが価値になる・後編
終 章 希望ある世界