ダイエット、英会話、スポーツクラブ、禁煙、読書……なぜ私たちは、やると決めた「良い行動」を続けられないのでしょうか? 「やめられない悪習慣」と「続かない良い習慣」。その違いは一体何なのか? 全米ほか世界各国で大ベストセラーになっている『小さな習慣』から、「良い目標」が続くようになるエッセンスをご紹介します。(文/田坂苑子)

 時のたつのは早いもので、今年もすでに半分が過ぎた。そこでふと思い出すのが、年明けに誓った「今年はこれをがんばる!」という目標。気持ちを新たにしたときにはやる気がみなぎっていたのに、いつのまにかすっかり忘れている。そんな方も多いのではないだろうか。

『小さな習慣』 スティーヴン・ガイズ著/田口未和訳 1400円+税 ダイヤモンド社刊

 今年こそは!と誓ったダイエット、英会話、スポーツクラブ、禁煙、読書……あれもこれも、続かなかったことばかり。それなのに、やめたいと思うような悪習慣は体に染みついている。

 なぜ、悪習慣は続くのに、習慣にしたいと思う「良い行動」は続かないのか?

 その理由を「脳の仕組み」から解き明かし、全米ほか世界各国で大ベストセラーになっている『小さな習慣』が話題だ。

 脳を味方にして、だれでも「良い目標を習慣化」することができる方法は、実はとてもシンプル。それは「目標をとにかく小さくする」ことだという。著者のスティーヴン・ガイズ氏によると「目標は大きいよりも小さい方がいい」し、しかも「失敗しようがないほど、小さくていい」という。それは一体なぜなのか?

運動、ダイエット、読書――
いい習慣が長続きしないのはなぜ?

 毎日続けて、習慣にしたいと思っている行動が身につくには、約21日かかる……という説を聞いたことはあるだろうか。30日だとか、平均は66日だという説もある。だが多くの人は、その前に挫折する。

 そう、身につけたい習慣というものは、往々にして身につく前にやめてしまうことが多い。習慣づくりのための自己啓発本やセミナーなども数多く存在するが、それも古今東西あまたの人々が、行動の習慣化が難しいことを痛感してきたからだろう。水泳、ジム、ヨガ、コアリズム、スロトレ、ポケモンGO(に頼ったウォーキング)……等々、習慣化に失敗した行動は枚挙にいとまがないが、66日の壁を超えて2年間も続けていた週3日程度のジョギングですら、結局今はやっておらず、なぜ習慣にできなかったのかと首をかしげている(晩酌は欠かさない、といった習慣は続いているにもかかわらず、である)。では良い習慣とは、いったいどうしたら身につくのだろう?