インシデント管理簿で記録する
横入りを可視化しよう

●ステップ(1)可視化
 横入り、すなわちインシデントをナントカするための3つのステップ。トップバッターは、「インシデントの可視化」です。チームで発生したすべてのインシデントを、共有の「インシデント管理簿」に記録しましょう。巷には、ITベンダーが提供するインシデント管理システムもありますが、手っ取り早くエクセルファイルで作った管理簿で構いません。

 インシデント番号(連番)、件名、種別、日時、対応者、依頼者、期限、優先度、ステータス(進捗)、対応履歴、対応所要時間(日数など)

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 このような項目を並べ、チームのメンバー各自が受けたインシデントを対応記録とともに書いて残します。どんな項目がいいかは、業務の特性(オペレーション業務なのか、研究や企画などのクリエイティブな業務なのかによって異なります)に応じて変えてみてください。

 次に、記録方法のバリエーションを示します。

・インシデントを受けた本人が、その場で記録する
・インシデントを受けた本人が、後で記録する
・チームリーダーやインシデント記録係(チームの誰かを指名)が、インシデントを受けた本人から話を聞いて記録する

 事務職やヘルプデスクなど、オフィスでパソコンと向き合っている職種であればインシデントを受けた本人がすぐ書くことができます。ところが、サービス業の接客の現場など、パソコンやモバイルデバイスが使えない環境ではなかなか各自がすぐ記録するわけにもいきません。

 その場合は、たとえば毎朝/毎夕方のミーティングでメンバーから聞いたインシデントの内容を、リーダーまたはインシデント係が管理簿に記録するなど、業種や職種の特性に応じた運営方法が考えられます。現場の担当者の負担感も軽減できますね。

 インシデント管理を始めると、たいていメンバーから戸惑いの声があがります。

「何をどこまで書いたらいいのかわからない」
「なんでわざわざこんなの書かされなければいけないの?」

 何をどこまで書いたらいいのかわからない。これは、リーダーが実態を見ながら適度なレベル感をメンバーと話し合って調整してください。3カ月も続ければ、その効果をリーダー/メンバーともに実感できてきます。まずは3カ月、続けてみましょう。なお、主な効果や実践事例などは、新刊『チームの生産性をあげる。』に詳しく書いていますので、ご関心のある方はぜひ書籍をお買い求めください。

(この原稿は書籍『チームの生産性をあげる。――業務改善士が教える68の具体策』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)