かんぱち、蛍烏賊など旬の魚介や鴨の薫製を肴に
酒を傾ければ、あっという間にグラスは空になる

 日本酒は地酒を中心に5酌売りがあって、2種の利き酒が楽しめる。ワインはフランス、チリ、オランダのものが何種かあって、グラス売りで600円、700円台だからうれしくなる。

浦和「庵 浮雨」――十割蕎麦をクリームソースで。フレンチの技術が引き出した蕎麦の美味さに感動。燻製はかんぱち、たらこ、蛍烏賊、鴨など、季節の旬物が。旨みがぎゅっと詰まって香りが高い。これを肴にすれば、グラスはすぐに空になってしまう。

 この酒に合わせるように、まずは季節の旬物を香り豊かなチップで燻した燻製の数々を味わってみたい。

 かんぱちや鴨、鰹や蛍烏賊まで皿に盛られてくる。魚介は燻されると潮の香りが強くなり、甘みがさらに濃いものになる。鴨は肉の旨みがぎゅっと閉じ込められて、噛み締めるとその旨みが開放されるようだ。

 フレンチを食べ慣れた人、蕎麦が好きだという人を、いい蕎麦屋があるからと浦和まで招いてみるといい。そのどちらも「庵 浮雨」には驚くはずだ。きっと浦和までの距離は無駄にはならない。むしろ心理的にはお釣りが出るだろう。

「客として眠庵に通っているうちに、アルバイトのような感じでなんとなく入ってしまったんです」と笑う熊谷さん。実家は町蕎麦を営んでいたというから、フレンチの料理人から迂回して蕎麦職人に転向したのは、町蕎麦の二代目の血が騒いだのだろう。

 今ではフレンチの技術を受け入れる蕎麦の懐の深さに真底惚れているという。フレンチの技術が蕎麦の新しい魅力を引き出し、蕎麦の滋味豊かな味わいがフレンチの懐も広げている。蕎麦とフレンチ、それを同じ土俵に取り込んだ亭主の人間の深みも一緒に味わってみたい。

「庵 浮雨」
●営業案内
浦和「庵 浮雨」――十割蕎麦をクリームソースで。フレンチの技術が引き出した蕎麦の美味さに感動。
・住所 埼玉県さいたま市浦和区高砂2-8-11 ナカギンザセブン内
・電話 048-825-0468(FAX共)
・営業時間 11:30~14:00(LO) 17:30~22:00(LO) 定休日・月
●予算:3000~5000円
●HP:なし
●おすすめ:なんといってもまずは鴨のカレークリームせいろ(1370円、リゾット付きは1580円)。肝せいろ(1000円)は鶏のフォアグラといわれる白レバ入り。出し巻きオムレツ(630円)、ホタテのムース板わさ仕立て(630円)で蕎麦屋酒としゃれ込みたい。
●酒・料理:料理はかなり充実。特に旬の魚介の燻製は席に座ったらビールと同時に注文したい。借金なし大豆の自家製豆腐(320円)は甘くて絶品。小柱のオーブン焼きブルゴーニュ風(630円)はワインで。酒は5酌で2種、3種で注文できる。ワインもグラス売りで600~700円台と全体に割安感がある。
●訪問:22時まで営業なので、遅い時間の会食や接待にも重宝する。カウンターで気の知れた人を接待。また、3人、4人で予め予約すれば席を用意してくれる。お任せ(料理5000円程度)がお得。
●地図こちら

 

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浦和「庵 浮雨」――十割蕎麦をクリームソースで。フレンチの技術が引き出した蕎麦の美味さに感動。

脱サラしてわずか1年で、蕎麦激戦区の神田で人気店をつくりあげた著者が教える「ワンランク上の蕎麦屋の始め方」。著者が築き上げたノウハウに加え、人気店への徹底取材で、そのこだわりと秘密を徹底解剖。蕎麦屋の開業準備から、極上店へ育て上げる秘訣まで、店づくりのすべてを惜しみなく公開。

 

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