「最低でも目標予算の達成」という新マネジメント

 私は年間100回以上、全国でセミナー、講演をさせていただいております。テーマは「組織営業力アップ」。2011年、特に震災後は本当に多くの方が私のセミナーに足を運んでくれるようになりました。

  そのセミナーの中で、繰り返しお話しをさせていただいているフレーズが、

 「営業の仕事は、目標予算を達成させること」

 営業は目標を達成しないと、1年間仕事をしたとは言えない、と私は言っています。ですから前述したように「申し訳ありません」と謝られても、「なかなか厳しいですね」といった評論家的なコメントをもらっても仕方がありません。

  経営者にしてみればひと言、「謝ってないでちゃんと仕事をしろ」と言いたくなりますよね。

 私が言う「絶対達成」という意味は、目標に向かって一所懸命がんばる! 1円でも多く積み上げて予算計画達成を目指す!ということではありません。もっとシンプルなことです。

 「最低でも目標達成」という意味です。
 「どんなに悪くても目標達成」ということなのです。

 たとえば、目の前に越えなければならない「山」があったとします。登山家になり、その山の頂に向かって登っていくのが前者の思考です。

  一所懸命、がむしゃらに、死に物狂いで挑戦しなければ越えられない壁を越えていこう。

  このような発想ですから、けっこう大変です。

  山登りは山登りでロマンがあると思いますが、「ふんばれ」「それが仕事だ」と言われると、少々しんどいと感じる人が出てくるかもしれません。

  しかし、飛行機に乗ってその「山」を越えようと考えたらいかがでしょうか? 楽に越えられますよね? 

  地上と一定の距離を保ちながら巡航速度をキープし、山の上を通過すれば楽々と越えられます。
  多少の乱気流があったとしても、ビクともしません。ある程度、想定外のことは最初から織り込みずみですから、越えられない、ということはないのです。

 企業の予算計画は前述したとおり、山です。

  絶対にその「山」は越えなければならないのです。山にぶつかってしまえば、取り返しのつかないことになります。

 営業は飛行機の操縦士であり、その山を越えます。ですから、たとえ期待していた案件が来期にずれ込もうが、景気が悪化して既存顧客からの注文が例年を大幅に下回ろうが、そんなことはまったく関係ありません。

 「絶対達成」のキーワードは、リスクヘッジの思考です。

  前述したように「地上との距離を一定に保つ」ということは、最悪でも墜落しない、山にぶつからないために不可欠なリスク回避の手法です。

  つまりは「目標未達成というリスク」を絶対に回避するという考え方が、私が言う「絶対達成」です。