東日本大震災の復興支援活動で、糸井重里氏も驚くほどの成果をあげている一人の学者がいる。西條剛央(37)。ボランティア経験なしの早大大学院(MBA)専任講師で、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」代表だ。
Amazonの「ほしい物リスト」を援用し、2万4000個の物資を被災地へ届けたり、「重機免許取得プロジェクト」で計200人以上の免許取得者を出したりと、誰も思いつかないアイディアを実行。行政や日本赤十字社もできない支援の仕組みに注目が集まっている。
猪瀬直樹東京都副知事、柿沢未途衆議院議員から、GACKT氏、宮本亜門氏、市村正親氏、大竹しのぶ氏、木村佳乃氏、佐藤隆太氏、成宮寛貴氏、藤原紀香 氏、別所哲也氏、松田美由紀氏、南果歩氏、森公美子氏、森山未來氏など、事務所の垣根を越え、有名人からも続々支援の手が差し伸べられているのはなぜか。『人を助けるすんごい仕組み』を発刊したばかりの著者に、第3回は「組織の不条理はなぜ起こるのか」について聞いてみた。
――なぜ、そんなにたくさんのプロジェクトを思いつくんでしょうか?
西條 やはり、ゼロベースでその都度、有効な方法をつくれる「構造構成主義」の考え方がかなり役立ったと思います。
――いろいろなビジネス書でも「ゼロベースで考える」ということは謳われていますが、私なんかはゼロベースだと何も考えられなくなるんですが(笑)。そういう人は、どうすればいいのでしょうか?
西條 お気持ちはわかります(笑)。ゼロと言われても……ってなりますよね。
ゼロベースといっても、構造構成主義の場合は、何の足がかりもなくゼロから考えるということではないんです。構造構成主義は「方法とは何か」「価値とは何か」ということから考えるんです。
――方法とは何か?……
西條 その問いに答える、すべての“方法”と呼ばれるものに共通する理路が「方法の原理」です。それによれば、方法の有効性は、(1)状況と(2)目的に応じて決まる、ということになります。まず、正しく「状況」を把握することが大事です。たとえば「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が立ち上がる前にも、被災者とのマッチングサイトがあったわけですが、多くは支援を受ける人が自分でパソコンを使って登録されている物資を選んで受け取るような仕組みなんですね。