それは、ひと通りの商品説明が終わった「クロージング」の場面、お客様がどうしようか悩んでいる時、迷っている時、つまりお客様が考えている沈黙の間に、しゃべりすぎることです。
「自分がどういう時に沈黙するか、沈黙した時に何を考えているのか」
目線を変えて考えるようにマスターは言っています。人はどういう時に沈黙するのでしょう?
重要な問題を考えている時、重要な決断を下す時、重要な発言をする直前。つまり、何か重要なことが頭の中を巡っているからこそ、相手を目の前にして黙ってしまうのです。
重要なことを考えている沈黙を邪魔されたら、自分ならどう思いますか?
不快ですよね。つまり、クロージング中に黙っているお客様相手にしゃべりかけるのは、お客様を不快にしているのと同じこと。それでは、契約まで辿り着けるわけがありません。こう考えると、
「沈黙を邪魔された時、自分がどう思うか。それと同じことを相手も感じておるわけじゃ」
というマスターの言葉が、いかに深い意味を持つか、よくわかるのではないでしょうか。
クロージング時だけではありません。お客様がいらしてから帰るまで、しゃべりすぎたら売れるものも売れません。自分から話しかけるということは、その度にお客様の思考を寸断していることでもあります。
声をかけるタイミングが悪ければ、その都度その都度相手を不快にしてしまっていることにもなりかねません。売れないのも当然、と言えるでしょう。
もし声をかけるのなら、お客様の情報や要望を引き出す質問を投げかけるといいでしょう。何人で住むのか、洋風、和風どちらが好みか、部屋数は、車は何台か、趣味は何か……。そうして引き出した情報に合致する自社のアピールポイントを簡単に説明してみる。そこで、さらにお客様が興味を持てば、さらに詳しく説明すればいいのです。