人類で最も火星に近い男
100万人が暮らすイーロン・マスクの「火星移住計画」
火星への取り組みを進めている民間企業で、最も注目されているのはイーロン・マスクのスペースXです。
イーロン・マスクは、宇宙開発に参入してきた当初から、火星移住のビジョンを持っていました。2002年に会社を設立していますが、そのときに「人類が火星に居住する」という目標がすでにあったようです。
「アポロの月面着陸ミッションが成功してから、なぜ人類は火星にまだ行っていないのかと考えている自分がいました」と発言し、当時からずっと、彼は火星のことを考えていたといいます。
スペースXでは宇宙船「ドラゴン」の開発を推し進めていますが、火星を目指す宇宙船は「レッドドラゴン」という名称で開発が進められており、まずは、無人での火星着陸を実現させるという目標を掲げています。
レッドドラゴンは火星への着陸だけでなく、離陸も可能な設計になっています。火星だけでなく、太陽系のどの惑星にも離着陸できるのです。レッドドラゴンのプロジェクトには、すでに300億円以上が投じられていると言われています。
以前、火星居住について、イーロン・マスクはびっくりするようなことを発表したことがありました。火星の極地で大きな爆発を起こし、それによって大気の状況を変える「テラフォーミング」によって第2の地球にできるというのです。そうすれば、火星に住めるようになる、と。
そして2016年9月、イーロン・マスクは少し方向性を変えた、壮大な計画を発表しました。火星に居住地を建設する「火星移住計画」です。今後、10数年以内に地球と惑星との間で数千人を輸送する事業をスタートさせ、その後、約40年から100年後には、火星を100万人が暮らし、自給自足できる居住地にする、というのです。