マイノリティの権利を守る
#TimesUp(もう終わりにしよう)運動

 男はこうあれ、女ならこうしろ、というステレオタイプが、この世からなくならなければならない。きっかけが、#MeToo運動という位置付けだ。その延長に、マイノリティの権利を守ろうという#TimesUp(もう終わりにしよう)という運動も盛り上がっている。

 では、セクハラ文化は米国で本当に終焉するのか。おそらく、大都市や大企業、各界の主流派では、かなりの抑制が利いてくるだろう。CBSが、ドル箱アンカー、チャーリー・ローズをあっさりと解雇したのも、視聴者離れを防ぐためだ。同様に、大企業がセクハラを隠蔽しようとしたり、#MeTooに積極的な態度を見せたりしなかったら、株価に影響が出てくると考えるのは当然だ。企業、自治体、国家も、セクハラに「NO」というのは、主流になる。

 一方で、中小企業や保守派が強い西部や南部、小さな自治体では、セクハラ文化はなかなか消え去らないだろう。2016年米大統領選挙を取材していた際、トランプ大統領候補(当時)の選挙集会で、トランプがセクハラで告発されていることについて女性の声を聞いた。

「トランプは、あれだけ成功しているビジネスマンなんだから、何をやってもいいのよ」
「ハンサムだったし、お金もある。セクハラして何が悪いの?」

 と誰もが言う。保守的な地方では、地位とお金があれば、セクハラは当然と考える、つまり権力に弱い文化なのだ。アラバマ州の上院議員候補ロイ・ムーアも落選こそしたが、彼に投票した女性有権者が少なくはなかった。