紙の本が残る二つの理由ーー本が提供できる「新たなバリュー」とは?

堀江:もう一つ、未来の話をしてみると、僕は紙の書籍は、底を打ったんじゃないかなと思っていて。

ムーギー:なぜでしょう。

堀江:紙の本といっても、漫画どんどん売れなくなっていきます。底を打ったのは活字の方です。この違いは何かというと、「積ん読」需要なんですよ。本棚需要。

ムーギー:あっ、つまり、インスタとかで見せようと。こんなカッコいい本、読んでいるんだぞと。

堀江:そうそう。彼女が来た時に、俺はこんな知的なんだぜと。

ムーギー:ちょっと頑張って、堀江さんの『ゼロ』を読まなきゃみたいな感じですね(笑)

堀江:そう。だから、こういう紙の本は、やっぱり自分をブランディングするためというニーズがあるわけですよ。
 実際、本を買った人も、全員が全員、きちんと読まないんですよ。買ったけど、結局フライヤーとかゲットアブストラクトとか、要約サービスで読んでる人もいると思う。

ムーギー:本は知識を得るものじゃなくて、自分をブランディングするツールだと。その需要が一定層あるから、紙の本は残るんじゃないかというお考えですね。

堀江:そう。あとはもう一つ需要がある。みんな気づいてないんですけど、本ってめちゃくちゃ信用力あるんです。

ムーギー:なるほど。

堀江:本屋さんに本が並ぶことによって、その人のバリューがめちゃくちゃ上がるんです。社会的信用を得られる。しかも、広告宣伝効果があるんですよ。

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ムーギー:印税をもらいながら、宣伝するみたいな。

堀江:知的レベルが高い人たちが集まる場所に、優先的に広告が出せている状況だから、ターゲッティング広告をしているようなものです。

ムーギー:これ、クオリティーの高い、良いマーケティングになっているわけですね。

堀江:僕は出版のオファーが山ほど来るんだけど、3万部以上出せと、必ず言っている。

ムーギー:初版から?

堀江:それが条件。3万部以上出したら、大手書店でほぼ平積みになるんで。

ムーギー:確かに。

堀江:すると、広告効果がめちゃくちゃ高いんですよ。それに、3万部という冊数を刷っても、間違いなく売れるんです。そこはきちんと担保しています。
 メールマガジン会員が2万2000人いて、サロン会員が1700人ぐらいいる。この人たちが必ず買ってくれるんで。だから、出版社も安心して3万部出せると。

ムーギー:自分を応援してくれる人たちのコミュニティをお持ちなのは、強いですね。

堀江:はい。もうだから、本を出すことに関しては、僕の場合、勝ちパターンに入っていますよね。