人生の勝敗を分けるのは
「自分の軸を決める」こと

編集者の箕輪厚介さん箕輪厚介
幻冬舎 編集者
2010年双葉社に入社、2014年から編集部に異動し『たった一人の熱狂』(見城徹著)などを手がける。2015年7月に株式会社幻冬舎に入社。前田裕二氏の『メモの魔力』など編集者として多数の書籍を編集するほか、オンラインサロン運営、堀江貴文大学校で特任教授、株式会社エクソダス取締役などさまざまな活動を行う。著書に『死ぬこと以外かすり傷』(マガジンンハウス)がある。

熊谷 前田さんはなぜ『メモの魔力』を書こうと思ったんですか。

前田 箕輪さんと「次は何をテーマにして本を書くか」を話し合っていくなかで、共通認識として「次に来るのは『自己分析』だよね」というのがあったんですよ。

箕輪 そう。トークイベントで質疑応答すると、8割くらいは「箕輪さんみたいにやりたいことがないんですけど、どうしたら見つかりますか?」みたいな質問ばっかなんです。あ、みんな完全に「迷子」になってるな、と思って。

 でも一方で前田さんがずっと自己分析ノートを書きためていて、そのすごさは知っていたから、そのノウハウを1冊としてまとめよう、というのは方向性としてあった。

 それこそ、『絶対内定』みたいにワークシートに自分と向き合って、ブランクを埋めていく作業の重要性が高まるんだろうな、というイメージがおぼろげにあったんです。『君たちはどう生きるか』があれだけベストセラーになったのも、結局そういうことじゃないですか。それで『メモの魔力』を柱に、自己分析の要素をぶち込むことにしたんです。「巻末に1000問を入れる」と言い出したのは前田さんですけどね。本当は俺、大変だからやりたくなかったの(笑)。

前田 そう、絶対大変だけど(笑)、その分、絶対に就活生のみんなにとって必要なことだから、何としても入れたい、と。『メモの魔力』を書いたことで、「メモ魔会」という読書会が全国で立ち上がったんですよ。SNSで「#メモ魔会」と検索してもらうと、もちろん若い子も多いけど、時折、60代70代くらいの方もいらっしゃって。メモの質が年代によって変わってくるのも面白いです。当然、若い人は未来の分量が多いけど、ご年配の方は過去を振り返る作業が多くなったり。

箕輪 「次に自己分析が来る」と言ってたのも、別に就活生だけを狙っていたわけじゃなくて、「1億総自己分析時代」になる確信があったんだよね。なんなら定年を迎えた人とか、絶対必要じゃないですか。

前田 ある意味、就活生はラッキーですよね。たまたま就活があることで、自己分析せざるを得ない環境に置かれる。一定の強制力がないと、なかなかそういう面倒なことをしようとはならないじゃないですか。まさに『人生の勝算』でも書いたことだけど、人生において、「勝つ/負ける」を決めるのは、「自分の軸」を決めることなんだよ、と。就活生は、1年間みっちりそれを決めるステータスにいるってことじゃないですか。だから、ラッキーなんですよ。

熊谷 そもそも、就活のタイミングまでそういった思考力を高める機会や教育がないことが問題なんです。僕が我究館でコーチングするようになって、ちょうど10年が経ちましたけど、当時は「とりあえず大企業の内定をもらって、10年下働きしたら、30歳過ぎからおもしろい仕事ができるようになる」みたいな感覚だったのが、いまの学生たちは誰も「定年まで勤め上げる」とは思っていないんですよね。

 当然、「副業解禁」とか「人生100年時代」とか、時代的な背景を踏まえたうえで「入社してからどうキャリア形成するか」「どんなゴールを設定してスキルアップしていくか」と、とにかく自分で意思決定をしていかなければならない。「どう生きるか」を自分で考えなければならないんです。

 となると、ますます自己分析の重要性は高まりますし、『メモの魔力』で紹介されているような思考法を身につけていないと、あっという間に迷子になってしまうのです。

※次回は、「大企業サラリーマンほど悩みが深い」というお話です。お楽しみに!