ビジネスプランコンテストで優勝する

 たとえば、コンタクトレンズのケアが面倒だと言っていた友だちがいたので、当時の日本ではまだ広まっていなかった「使い捨てのコンタクトレンズ」。

 スキーの板って長くて運ぶのが面倒だよね、って話から、「折り畳み式スキー」。

 ちょうど、形状記憶合金のブラジャーが売り出されていたので、それをヒントにした、万が一事故に遭ってもお湯をかけると形状が元に戻る「形状記憶合金の車」。

 だんだん世の中が物騒になってきたので、学校の行き帰りに責任をもって子どもの送り迎えをしてくれる「子ども宅配便」。

 どういった流れで出てきたのか忘れましたが、地域独自の通貨「ご当地コイン」などなど。

 実現性は度外視して、それよりも、自由な発想で多くのアイデアを出していきました。ドラえもんの道具を参考に「こんなモノが世の中にあったらいいな」というような感じで考えまくったのです。

 すると、驚くことに、このコンテストで私が優勝したのです。

 審査委員長からいただいたコメントは、「ほとんどの学生が一人1通しか応募しないなか、唯一、何十通も応募したのが守屋君でした。彼だけで、全体の応募総数の1割に達しています。新規事業は、簡単にはうまくいきません。多産多死なのです。一分の一では生まれない。だから考えて考えて考えまくり、やってやってやりまくる人間が、起業家になるのです」

 サクラで参加したはずの私は、想定外の理由で優勝となり、イベント主催企業であったミスミから賞状と賞金をいただきました。さらには、「うちの会社に入社しませんか?」と入社のお誘いをいただくこともできたのです。

 先輩への恩返しのつもりが、さらに返さないといけない大きな恩となってしまいました。