やはり米大統領のトランプは「制御不能」だった。5月25日からの3泊4日のトランプ訪日はまさしく「お祭り騒ぎ」。ゴルフに始まり、大相撲観戦、六本木の居酒屋の炉端焼きでのもてなし。外務省関係者ですら「大統領来日に備えた最大の仕事はどう接遇するかにあった」と漏らすほどの厚遇だった。もちろんそれには“下心”があった。
「大統領に気分よく過ごしてもらうことが日本にとってプラスになる」(外務省幹部OB)
しかし、トランプが首相の安倍晋三に“手心”を加えることはなかった。自ら「ディーラー」を自任するトランプは正規の会談以外の場で自らの要求を突き付け、安倍に約束手形を切らせている。
日本にとって最大の懸案は、トランプが繰り返し求める農産物の関税率の引き下げ問題。しかし、日本には譲れない一線がある。環太平洋経済連携協定(TPP)で合意されている関税率を下回らないという大原則だ。昨年9月の日米首脳会談で合意した共同声明にもこう明記されている。
「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定(EPA)で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること」