10月から改定された最低賃金は、都内で1013円、深夜なら1.25倍で約1266円。加盟店の負担となる人件費の上昇は、オーナーを苦しめており、最低賃金ギリギリでどうにか従業員の確保できないかと四苦八苦している加盟店は数多い。こうした中で深夜に2000円を超えるような時給で従業員を雇えば、加盟店の利益をさらに圧迫することになり、負担軽減からは逆行している。
また、3月以降、1300回近く実施したという実績がアピールされたのは「レジ・接客研修」や「外国人材レジ接客研修」だ。これは加盟店が雇った従業員に対し、レジの操作方法や接客の仕方を教える研修を本部が実施するものだ。ところが、研修参加時の従業員の人件費や交通費は加盟店負担だという。しかも、「研修中は店の人手が減るので、参加させると店が回らない」(あるセブンの現役オーナー)。
お釣りを手で数えるセブンの従業員
ローソンに大きく遅れたレジ負担の軽減
「セルフレジの導入促進」も進捗でうたわれているが、他社と比べると出遅れが目立つ。SEJは9月以降、セルフレジの導入について加盟店へ案内するとしているが、業界3位のローソンはまもなく全店で導入される段階だ。そもそもSEJは今年春に、「年内にセルフレジを全店で導入する」と宣言していたが、来年に先送りしている。その事実は今回の公表資料で触れられていない。
またローソンでは既に、会計時に機械が自動的に計算して小銭や札が出てくる自動釣銭機を全店で導入済みだが、SEJではいまだに従業員が自分でお釣りを数えて手渡す仕組みだ。レジを閉めて精算する際に金額が合わなければ、オーナーと従業員との間でトラブルになるなど、レジはコンビニにおける問題発生源の一つだ。
自動釣銭機があればこうした問題が解消されるうえに、強盗の被害も減らせる。SEJではようやく来年春に、全店に1台ずつこうした自動釣銭機を導入するが、業界3位のライバルに大きく水を空けられている。
「キャッシュレス導入促進」の項目は、7月にスタートさせた独自キャッシュレス決済システム「セブンペイ」の失敗とサービス中止がすべてを物語っている。ソフトバンクグループの「ペイペイ」や、LINEの「LINEペイ」などIT大手の決済サービスの導入も、ファミリーマートやローソンと比べると出遅れが顕著だ。