自分にしかない物語で語る
「ストーリーテリング」
キャリアデザインスクール「我究館」館長。横浜国立大学を卒業後、株式会社リクルートへ入社。2009年、株式会社ジャパンビジネスラボに参画。3,000人以上の学生や社会人のキャリアデザインのサポートを行なう。著書の『絶対内定』シリーズが累計160万部超。
箕輪 僕も今でも自己分析を続けています。飛行機に乗ったときに、Wi-Fi接続できる飛行機だったとしてもネットをつながず、自分のノートに「今後、何をやりたいか」を書くんです。
「そもそも俺ってなんで生きてるんだっけ?」みたいなことを結構まじめに考えるんです。
その1時間でその後の20年間くらいまで決めるんですよ。それがめっちゃ大事だなって思います。
前田 その話に関連付けて言うと、自己分析って2つのパートに分かれていると思うんです。
1つ目は、知る作業。「自分はこういうときに幸せそうである」とか、「こういうときに楽しそうである」というように、自分を俯瞰して、本質的な部分を深掘って研究していく作業です。
2つ目は、それを伝える作業。ストーリーテリング(物語を通して聞き手を印象付ける)の作業ですね。
箕輪 たしかに。自分を知ることと、自分の人生を自伝的につくっていく作業ですよね。
前田 そうです。ストーリーテリングまでを含めて「自己分析」だと思うんです。
「なぜ自己分析するのか?」というと、自分の背景や裏側にある私はこんな文脈で頑張っているんだということが、より魅力的に効果的に伝えられるからですよね。それによって共感が集まって、自分の戦場で勝ちやすくなる。
はからずとも、影響力の強い人たちは、みんな大体そういう状態になっていると思います。自己分析をしていれば、「なぜここに旗をたてるのか」をその人の性質に照らし合わせて話ができるわけです。西野(亮廣)さんとか堀江(貴文)さんとか、箕輪さんもそうだと思います。
箕輪 まったくもってその通りですね。最近、山口周さんの新著で『ニュータイプの
時代』(ダイヤモンド社)という本を読んでいて思ったんです。
世の中に「問題解決ができる人」はいくらでもいる。だから、そういう人たちの給料も価値も下がっていて、今の時代は、「問題をつくれる人」に価値がある。
「問題をつくれる人」っていうのは、今の時代において「これが足りていない」「こういう世界を実現したい」と言える人。
そういう人に価値が大きくシフトしているなと。
前田 まさにそうですね。
箕輪 それって自分以外のことを考えているようで、「自分がどう生きたいか」とか「自分が世界に対してどういう存在でありたいか」を考えているから、実は自己分析なんですよね。
だから、何かを解決してくれる “便利屋さん” みたいな人の価値が低くなって、「俺はとにかくこういう世界にしたいんだ」っていう野望を持った人が超強くなると思うんです。