サントリー2倍、メルシャン1.5倍
拡大する国内のワイン用ブドウ畑

 この状況を受け、各社は日本ワインの増産へと走り出す。

 キリングループでワイン事業を担う国内2位(2018年度日本ワイン販売数量。大手ビール4社内での順位)のメルシャンは、9月に国内3カ所目となる椀子(まりこ)ワイナリーを長野県上田市にオープンさせた。

椀子ワイナリー
長野県上田市にオープンした椀子ワイナリー。インバウンドも取り込み、年間2~3万人の来訪を見込む Photo by K.Y.

 椀子ワイナリーの周囲にはブドウ畑が広がる。これまでは採れたブドウを山梨県の勝沼ワイナリーに送り、そこでワインの製造を行っていた。今回、畑の隣に製造拠点が併設されたことで、輸送の手間が減った。「ブドウにストレスをかけることなく、ワインの製造が出来るため、品質が良くなる」(小林弘憲ワイナリー長)といい、コスト減だけでなく、質的な向上も期待できるという。

 メルシャンではワインに使用するブドウの自社管理畑を26年までに、現在の1.5倍となる76haへと拡大することを目指している。メルシャンの長林道生社長は「日本ワインをグローバルブランドにして、世界へ羽ばたかせたい」と意気込む。

 国内1位のサントリーも22年までに16年比で2倍となる50haへと栽培面積を増やす計画だ。自社農園の強化に加えて、長野県や山梨県の農業生産法人との提携を進めている。

 アサヒも北海道で農地の取得を進めており、日本ワインの増産体制にしのぎを削っている状況だ。

まだまだ少ない日常消費
「日本ワイン」拡大のカギ

 一方、畑への投資はリスクも伴う。メルシャンの前田宏和マーケティング部長は、「畑に投資してから、製造・出荷までが長期間にわたり、リターンがわかりにくい。嗜好性も高いため、マスへのアプローチは難しい」と現場での苦悩を明かす。

 ビールに比べて価格帯が広い上に、赤や白といった品種、産地や熟成期間など、個人の好みは多岐にわたるのがワインならではの難しさだ。

 プレミアムワイン株式会社代表取締役の渡辺順子氏は、「今後日本ワインが世界に認められるためには、自国でしっかりと消費されなければならない」と今後の展望を描く。

 欧州と比較して、日本人はワインを日常的に飲む習慣が少ないと言われてきた。国内ビール大手は日本ワインで競争を仕掛け、ワイン市場のさらなる拡大の起爆剤となることを目論む。今年は秋の夜長のお供に、「日本ワイン」を加えてみてはいかがだろうか。