「いい炎上」とは

ただ、炎上には「いい炎上」もあります。

「あのハリウッド俳優が日本のラーメン屋に現れた!」
「このシュークリームがおいしすぎてダイエットがはかどらない」

こういった話題は、だれかを傷つけることはありません。
動画に話題性と意外性があるという点で、「いい炎上」といえます
社会の問題点をあぶり出すような炎上も、価値のある“燃え方”をすれば、「いい炎上」に入ることがあります。

ある有名人が「今どき9時5時の働き方をしているなんて時代遅れだよね」と発言したとします。実際に9時5時で働いている人からすれば、いい気分のするものではないでしょう。

しかし同時に、このメッセージには、「もっと柔軟な働き方があるんじゃないか」という問題提起も含まれています。今は9時5時で働きつつも、フレックスタイム制の導入を望んでいる人からすれば、「よく言ってくれた」と称賛したいかもしれません。

企業のマーケティング担当者が気をつけたいのは、発信者が個人であれば問題なさそうなことでも、企業が発信すると問題になることもあるという点です。

例えば、漫画家が社会風刺をすれば、ユーモアになります。
しかし企業が社会風刺をすれば、「企業がそんなことを言っていいのか」と炎上しかねません。

個人がTwitterで「この人の曲、嫌い」とつぶやくのは問題なくても、企業の公式Twitterが同じことを書けば大問題になります。いわゆる「お前が言うな」という批判です。
企業は社会の公器であるという前提に立てば、何かを批判したり、揶揄したりすることは、ほぼマイナスイメージにつながります。

賛否両論を巻き起こすことも、企業は避けるべきです。
賛否両論があるということは、少なからず「否」もあるということ。一定数の人たちを敵に回すのは、企業のマーケティングとして得策ではありません。SNSでの批判に対して直接、経営者本人が対応しているようなケースは非常に稀です。
賛否両論で得をするのは、組織に属さない個人だけです。