海の近くに住むことは心の健康に良い?
近年、緑豊かな自然の中で過ごすことがメンタルヘルスに良い影響を与えることを示した研究が増えつつある。しかし、海の近くに住むことも精神的な癒しになる可能性が新たな研究により示された。
研究を率いた英エクセター大学医学部のJo Garrett氏は、「イングランドの海に近い都市部に住む貧困層では、精神疾患の症状に悩まされている人が少ないことが、この研究により初めて示された。メンタルヘルスという観点では、海の近くという“保護作用のある”地域に住むことで、高所得者と低所得者の間の健康格差がなくなる可能性がある」と述べている。研究の詳細は、「Health and Place」10月1日オンライン版に掲載された。
Garrett氏らの説明によると、イングランドではおよそ6人に1人が不安やうつといった頻度の高い精神疾患(コモン・メンタル・ディスオーダー)を抱えている。こうした精神疾患は、貧困な人において生じる可能性が高いことが指摘されている。
今回、同氏らは、イングランド健康調査(Health Survey for England)の参加者約2万6000人のデータを用いて、都市部に住む成人において、海の近くに住むこととメンタルヘルスとがどのように関連するのかを調べる観察研究を行った。