Garrett氏らが関連する要因を考慮して解析した結果、GHQ精神健康調査票12項目版(GHQ12)での測定で不安やうつといった精神疾患を発症するリスクが高い人の割合は、イングランドの海岸部から50km以上離れた場所に住んでいる人に比べ、0~1kmの距離に住んでいる人で有意に低いことが分かった。
また、海までの近さと精神疾患発症リスクの低さとのこうした関連がみられたのは、研究参加者を世帯収入に応じて5つのグループに分けたうち、最も収入が低いグループに属する、海から5km以内の場所に住んでいる人のみであった。
こうした結果を受け、Garrett氏らは「“ブルースペース”(海岸や川、湖といった水性環境)、特に海岸部と健康およびウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)とのポジティブな関係は、社会経済的に恵まれない人において強くみられることを示すエビデンスは増えつつあるが、今回の研究結果も新たなエビデンスとしてそこに加えられるものだ」と述べている。
一方、共著者で同大学のMathew White氏は、「政府に、海岸環境を保全し、活用方法を考え出し、その使用を促してもらうには、水辺の環境が健康に与える影響に関する今回のような研究が必要不可欠である」と研究の意義についてまとめている。
そして、「私たちは、都市部において“ブルースペース”がウェルビーイングにもたらす効果を最大化する方法について、政策担当者に理解してもらえるよう努めなければならない。さらに、壊れやすい海岸環境を保全しつつ、誰もが等しくそこへアクセスできるようにすることが大切だ」と述べている。(HealthDay News 2019年10月3日)
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