日銀Photo:PIXTA

 10月30・31日に金融政策決定会合を開いた日本銀行は、金融政策(政策金利と資産買い入れ)を据え置く一方、先行きの政策金利の方向を示す「フォワードガイダンス」を修正し、将来の利下げに含みを持たせた。

 フォワードガイダンスの修正は、追加緩和の余地の少ない中で市場の緩和期待をつなぎとめるために腐心した跡がうかがえるが、日銀の主観的な物価判断に依存する度合いが強まり、市場参加者には政策金利の先行きがますます読みにくいものになった。

新たなフォワードガイダンス
日銀の主観的な物価判断次第に

 新しいフォワードガイダンスの文言は、「日本銀行は、政策金利については、『物価安定の目標』に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」とされた。

 このガイダンスは、(1)「少なくとも2020年春頃まで」とされてきた従来の「カレンダー依存型」を「物価のリスクに依存する型」に変え、同時に、(2)CPI(消費者物価指数)の展開次第では利下げがあり得ることを明示した(図表1)。