日本人が白米を食べ始めたのは
「つい最近」のこと
ところが、私が糖質制限の重要性を唱えると、必ず次のような反論の声が上がります。
「日本人はご飯を食べるようにできているんだ」
彼らの主張の根拠は、たいてい「昔から日本人はそうやって生きてきたのだ」「昔の人はよく考えていたのだ」というものです。
では、その「昔の人」とはいつの人たちのことなのでしょう。もし、江戸や明治の時代を生きた人を指しているなら、時代考証がおかしいと言わざるを得ません。
私たちの祖先は、江戸時代に生まれたのではありません。もっとはるか前の縄文時代には、日本人としての私たちの遺伝子は完璧に出来上がっていたはずです。
その頃の日本人は、狩猟・採集生活を送っており、お米など食べていませんでした。そういう時代が非常に長く続いた後で、ようやく日本人は農耕を知り穀類を安定して手に入れる方法を知りました。
日本人だけではありません。人類という視点で考えれば、類人猿のような人類の祖先の誕生から約600万年、人類誕生から約250万年という長い歴史の中で、糖質を安定して食べられるようになったのは農耕が生まれた約1万年前からです。ましてや、糖質を大量摂取するようになったのは、この技術が飛躍的に進歩したこの数十年の極めて最近のことです。