ITに強い日立vsハードを握る三菱連合
日立幹部は「三菱重工は、送配電をほぼやっておらず、競合する可能性は低い」と余裕の構えだが、三菱重工側の鼻息は荒い。
今回の和解で三菱重工が得る2000億円のキャッシュは、風力や太陽光で発電した電力をバッテリーで貯め、需要の増減に合わせて電力を供給するシステムなど新分野の研究開発などに充てる。
さらに、三菱重工幹部は出遅れている電力関連事業のソリューションについて、「三菱電機と組むことを考える」として「三菱連合」で対抗する可能性を示唆する。
三菱重工と三菱電機はこれまでも発電用タービンと発電機をそれぞれ製造し、セットで納入してきた。発電所のデータを解析して、発電効率を上げるソリューションでも提携している。
三菱電機はすでに1000人規模で送配電のソリューションを提供する拠点を持っており、今後の注力分野に位置づけている。
タービンと発電機という主要発電機器を握る三菱連合と、ハードウエアを手放し、得意のITで勝負する日立――。ソリューション事業を拡大するのはどちらの陣営なのか。発送電の効率化は世界的に莫大な需要があるだけに、その勝負の行方は両社の経営にとって大きな意味を持つ。今回の“離婚”を契機に、三菱と日立による市場争奪戦のゴングが鳴った。