よく「部下は上司を選べない」と言われます。また、「上司が部下を選べない」ことも多いでしょう。しかし、何か合わない部分があるからといって、コミュニケーションも取らずに対立していても仕方がないですし、そのままでは成果を上げることもできません。では、どうすればいいのでしょうか。
私は、上司と部下の間で何か対立する部分が出たら、お互いにその感情を正直にぶつけた方がいいと思っています。人は感情の生き物ですから、それを無視してためておくとコミュニケーションが阻害され、チーム運営にあたり余計な手間が増えることもあります。もちろん、生の感情を、そのままぶつけてはいけません。
「さっきのあなたの話はとても頭に来た。なぜなら、こういう背景があるからだ」「私は君に、こういうところを直してほしくて、怒った」など、理由も含めてきちんと冷静に伝えるように心掛けるといいでしょう。気を付けなければいけないのは、相手の「人格」を攻撃しないこと。相手の「行為」に対して自分がどう感じたか、意見をすることです。
「こんな私だけど、どうぞよろしく」
チームづくりに上司のトリセツ
上司・部下で対立が起きる度にやり取りをするよりは、事前に相手が何を考えているのか、どういう行為が好きで何が嫌いなのか、知っていた方が仕事はやりやすいはずです。そこで私は、マネジャーとなる人に、自分の「取扱説明書」を作ってチームビルディングの際に共有しておくことをおすすめしています。
私自身も取扱説明書をチームなどに共有することがありますが、そこには「不得意なこと」「得意なこと」や「早口になるクセがある」「考えているときは無口になるが無視しているわけでも怒っているわけでもない」「あえて人が嫌がる質問をすることがあるが、その人を否定しているわけではない」「忙しいと言っているときは本当に忙しい」といった特性が書かれています。また、「困ったときはこうしてくれるといい」といった「扱い方のコツ」も書いてあります。
取扱説明書には、自分ではなかなか気づかないけれども、人から指摘されて「なるほど、他人からはそう見えるのか」と思ったことを書いておくといいようです。例えば「あのときは怒っているのかと思いました」など、他の人からどう思われていたかを知って「別に怒っていたのではなくて考え込んでいただけだよ」などと説明が必要だった場面があれば、その説明をあらかじめ書いておけばいいのです。