買収価格はどこまで上がるか
上昇の一途をたどる株価
ユニゾを巡る争奪戦は昨年7月、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が仕掛けた敵対的TOBで幕を開けた。その後、ホワイトナイトとしてフォートレスが登場。続いてブラックストーンが参戦を表明するなど、主役が目まぐるしく入れ替わるかたちで、株式市場の注目を集めてきた。
株価も上昇の一途をたどる。HISがTOBを発表した際には2000円程度にとどまっていた株価は、新たなファンドが名乗りを上げるたびに上昇し、12月に入るとEBOによる買収価格さえ上回って推移。ある証券アナリストは「資産の含みが大きく、まだTOB価格が上がる余地があると市場は見込んでいる」と解説する。
今後の焦点は、ユニゾの従業員が設立した「チトセア投資」なる買収会社が、ブラックストーンやフォートレスを上回る価格を提示できるかどうかだ。ブラックストーンはユニゾ経営陣の同意を前提としているが、同意が得られない場合は敵対的買収に踏み切るとの見方もあり、もう一度三つどもえの戦いに発展することも予想される。
鍵を握るみずほの動向
ユニゾの味方に立てない可能性
買収ファンドに加えて、勝負の行方を左右する存在として急浮上しているのが、ユニゾのメインバンクであるみずほ銀行だ。
ユニゾは旧社名を常和ホールディングスといい、旧日本興業銀行系の中核企業だった。現在は、みずほフィナンシャルグループ(FG)系の企業に位置付けられている。株主には、旧興銀系の保険販売会社である共立や、日鉄興和不動産、みずほリースなどが名を連ねる。そもそも小崎哲資社長自身が2010年にみずほFG副社長から常和ホールディングス社長に転じた人物でもある。
グループ企業であり、メインバンクでもあるだけに、みずほ銀は当然、ユニゾ側に立つと目されてきたが、ここにきて、みずほ銀がユニゾの側に立てない可能性が金融市場で取り沙汰されている。
その理由は、ユニゾのEBOスキームにある。