「消費者が炭酸水を購入する際、最も重視する要素は、炭酸が強いかどうか。ウィルキンソンは以前から『刺激、強め。』と訴求し続けており、消費者ニーズと合わせている」と久保課長は説明。炭酸の刺激という“一点突破型”のアピールを続けてきたことが、ブランドイメージを確立させた。
20年は「刺激、強め。」というお馴染みのフレーズに加え、「パッケージで『シェアNo.1』も訴求することで、消費者がウィルキンソンを選択することに自信を持ってもらう」(アサヒ飲料の大越洋二常務)と、積極的な露出でさらなる飛躍を狙う。
サントリーは「水」をアピール
炭酸水の手作り装置の新興勢力も
ウィルキンソンの“独走”を食い止めるべく、競合も猛追する。
追撃するサントリー食品インターナショナルの「サントリー天然水スパークリング」は、18年に大規模なリニューアルを断行。「19年の販売数量は17年の約2倍になった」(担当者)とこちらも絶好調だ。天然水ブランドを押し出し、「水」にフォーカスするマーケティングは、ウィルキンソンとは対照的だ。
また、無糖炭酸水を「自宅で作る」という新たな市場開拓に乗り出す新興勢力も登場した。炭酸水の製造機器を販売するソーダストリームは、タレントのアンジャッシュの渡部健さんを起用し、家庭でも手軽に炭酸水が作れることをアピールしたCMが大受け。「14年からの5年間で販売金額が600%を超える伸び」(担当者)と驚異的な数字をたたき出している。
王者ウィルキンソンの独走は続くのか。はたまた待ったをかけるブランドが現れるのか。“甘くない”戦いはこれからも激化しそうだ。