店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載「外食王の野望」で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回は鳥貴族の大倉忠司社長。業績不振から復活すべく、「稲盛和夫の教え」を実践する真意とは。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)
20年は「復活」の年
アメーバ経営を浸透させる
──2020年はどんな年にしたいと考えますか。
世間的には失速のイメージがあったので、「復活」をキーワードにしたい。20年7月期の第1四半期は、利益面ではいいスタートを切れた。客数の下げ止まりによって利益を確保できましたが、売上高では満足する結果をまだ出せていません。
──失速の原因は値上げですか。
いや、もっと前です。14年7月にIPO(新規上場)をしましたが、今の業績はその頃に戻った状態。実際はIPO前から既存店売上高は落ちていた。それなのにメディアに露出し、2期連続で既存店売上高が前期比108%で推移したことで、われわれ自身が「これが実力だ」と勘違いしてしまったんです。
──今後のてこ入れ策は。
稲盛和夫氏が編み出したアメーバ経営を実践すべく、18年9月に京セラコミュニケーションシステムにコンサルティングに入ってもらいました。19年2月からはエリアマネージャー、10月からは現場の店長に、アメーバ経営の考え方を落とし込んでいます。といっても、一朝一夕で浸透するものではありません。現在はその取り組みの真っ最中です。