無人化された工場写真はイメージです Photo:PIXTA

「グロボティクス」の速度を
政策的に遅らせるべきか

 グローバル化と技術の進歩(自動化)は雇用や経済社会を大きく変えてきたが、これまでは、ある雇用が失われても、新たな生産やサービスを担う仕事が生み出されてきた。

 だが2010年代から始まった「第三の大転換」では、グローバル化や技術進歩の速度が早すぎるために、そうした“好循環”が生まれないという。

 そう主張するのは、貿易論の世界的大家として知られるリチャード・ボールドウィン教授だ。

 教授は主流派経済学者の代表格として、自由貿易や技術革新の重要性を長く主張してきたが、近著『グロボティクス』では、失業による社会の不安定化を避けるため、グローバル化とロボット化(=グロボティクス)の速度を政策的に遅らせる必要があるかもしれないと論じている。

 人口減少で労働力不足が続く日本は例外のようにもみえるが、将来、先進各国では、「グロボティクス」によって雇用が広範囲に代替され、失業問題が深刻化するのだろうか。