「とにかく合格したい!」「成績を上げたい!」と目標を持って勉強に励んでいても、こんな悩みにぶつかるでしょう。「続かない!」。どんなにいいやり方を手に入れたとしても、続かなければ意味がありません。勉強とは「すべり台」です。勉強ができる人は階段をささっと駆け上がって、一気にすべるイメージを持っています。それが「学びの自動化」です。すべり台に「すべって楽しむおもしろさ」と「勝手に進むラクラク」があるように、勉強も始めたら止まらなくなるのです。
『偏差値95の勉強法 頭のいい人が知っている「学びを自動化する技術」』には、「没頭力(自らのめり込む)」「論理力(文脈で考えられる)」「記憶力(つながりで覚えられる)」が同時に手に入る勉強法を収録。さらに「没頭力」を発揮することで、「最短で結果が出る」「1日が27時間になる」「努力を努力と思わなくなる」のです。勉強にハマる要素は、たくさんあります。学びの楽しさを実感し、目標を達成できる勉強法を手に入れてください。

圧倒的にずば抜けた「頭のいい人」と「凡人」の違い

 世の中には、ずば抜けて頭がよく、常によい成績をおさめている人がいます。その一方で、勉強がなかなか好きになれず、成績や点数の向上に苦しんでいる人もいます。

 この違いは、いったいどこにあるのでしょうか?

 その答えは、「没頭」だと、私は考えます。

 私は高校時代、漢文で偏差値95をマークしたことがあります。こう書くと、「もともと頭がいいし、ずっと漢文の勉強をやっていたからでしょう?」と思われるかもしれませんが、それまで漢文の勉強はほとんどやっておらず、試験前のわずか2週間だけです。

 けれども、その2週間は、ひたすら漢文の勉強をし、寝ても覚めても漢文のことばかり考えていました。つまり、このときの私は、ものすごい勢いで「漢文に没頭」していたのです。

 没頭で成績を急上昇させたのは、私だけではありません。

 たとえば、2012年の「中国女子数学オリンピック」で日本人初の優勝を果たし、さらに連覇した葛西祐美さんは、小学校のときに数学に魅了され、その後もずっと数学にのめり込み続けてきたそうです。その結果、東大理Ⅲに上位の成績で合格を果たしています。

 トップクラスの成績を上げる人は、それだけ一つのものに没頭できる人だと言えるのではないでしょうか。

 とはいえ、「没頭」は、何も頭のいい人だけの特権ではありません。

 みなさんも、おそらく何かに没頭した経験があるはずです。好きなアイドルの動画を見たり、ゲームをしていたりするときは、ほかのことを何も考えずにその世界に没頭していますよね。

 そう、没頭することは誰にでもできることなのです。

 ただ、「勉強はおもしろくないもの」というすりこみがあって、その没頭する感覚を勉強と結びつけられないだけなのです。誰もが本来持っている没頭の力を勉強に活かすことさえできれば、どんどん勉強の世界に没入し、自ら先へ先へと進み続け、気がつけば結果を出している―そんなことも、夢ではありません。

 私は塾の受講生たちにも、「没頭」を重視して教えています。試験合格のための効率のいい勉強方法ももちろん教えます。しかし、それ以前に、大前提として必要なのが没頭だということに、たくさんの受講生たちと接していて改めて気づいたのです。

 没頭することを意識しながら勉強した結果、95%の受講生の成績がアップしました。残り5%は、私と一緒に勉強を始める前にやめてしまった受講生たちなので、実質的には全員の成績が上がったということになります。

 私の塾では、マンツーマンで一人ひとりに最適な勉強法を伝授していますが、一つの特徴として、「毎日勉強の進捗状況を報告する」ことを受講生に課しています。

 さらに、その日にやった勉強の内容を振り返ることが記憶の定着には必要不可欠なので、それもやったかどうかを報告してもらいます。

 また、10日に1回ほど、オンラインで進捗の確認をしながら、疑問に思った点、進みが悪いと感じている点などを話してもらい、アドバイスをします。

 現状の自分がどうなっているのかがわからないと質問さえもできません。ですから、受講生たちは自然に自分自身の現状を客観的に見つめ直すことが習慣になっています。この毎日の「セルフチェック」が、勉強にのめり込んでいくためには重要です。

 たとえば、「レコーディングダイエット」は、毎日体重を記録するだけのダイエット法として有名ですが、ただ記録するだけではなく、「間食が多かったから体重が増えた」「ウォーキングの時間を増やしたから痩せた」など、その数字から体重の増減の原因を分析し、自分で改善するから成功するという一面もあります。

 ダイエットがうまくいくと、毎日のチェックも楽しくなり、自動的に生活習慣も気にするようになっていきます。

 勉強も同じで、日々やった内容をセルフチェックすることで、自分の現状がわかり、できていない部分が明らかになります。続けていくなかで、自分が伸びている感覚がつかめると「こんなにできているんだ!」という達成感が生まれ、ますます勉強に没頭できるようになるでしょう。

 私がみなさん全員にマンツーマンで教えることはできませんが、この日々のチェックなら、一人でも、誰でもできます。

 また、勉強を続けていくには、試験に合格した後や夢を実現した後の「イメージを持つこと」も大切です。

 私はよく受験生に、「オープンキャンパスよりも、普通の日に志望の大学を見にいってごらん」とすすめています。普通の日のほうが、大学生の日常をよりイメージしやすく、そこにワクワク感を感じて自動的に勉強するようになるからです。

 資格試験の勉強をされている方の場合は、合格した瞬間の喜びを具体的にイメージしてみることをおすすめします。実際に合格したと考え、ガッツポーズをしてみるとよりイメージが鮮明になります。また、試験合格によるメリットを紙に書き出してみるのも有効です。

 あとは、「絶対にできる!」「自分ならやれる!」という自己肯定感も重要ということを付け加えておきます。

 まずは、誰もが持っている「没頭」のスイッチを入れること。それが、どんな試験でも成果を出せる「成功率95%の勉強法」のファーストステップです。