「とにかく合格したい!」「成績を上げたい!」と目標を持って勉強に励んでいても、こんな悩みにぶつかるでしょう。「続かない!」。どんなにいいやり方を手に入れたとしても、続かなければ意味がありません。勉強とは「すべり台」です。勉強ができる人は階段をささっと駆け上がって、一気にすべるイメージを持っています。それが「学びの自動化」です。すべり台に「すべって楽しむおもしろさ」と「勝手に進むラクラク」があるように、勉強も始めたら止まらなくなるのです。
『偏差値95の勉強法 頭のいい人が知っている「学びを自動化する技術」』には、「没頭力(自らのめり込む)」「論理力(文脈で考えられる)」「記憶力(つながりで覚えられる)」が同時に手に入る勉強法を収録。さらに「没頭力」を発揮することで、「最短で結果が出る」「1日が27時間になる」「努力を努力と思わなくなる」のです。勉強にハマる要素は、たくさんあります。学びの楽しさを実感し、目標を達成できる勉強法を手に入れてください。
頭のいい人は覚えることに魅力を感じている
テレビ番組『最強の頭脳 日本一決定戦 頭脳王』(日本テレビ系)に出演した私は、アメリカの第16代大統領エイブラハム・リンカーンのゲティスバーグ演説の冒頭第一文を英語で披露しました。じつは冒頭だけでなく、全文暗唱することができます。
その全文は、このようなものです。
Four score and seven years ago, our fathers brought forth on this continent a new nation: conceived in liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal. Now we are engaged in a great civil war... testing whether that nation, or any nation so conceived and so dedicated... can long endure. We are met on a great battle-field of that war. We have come to dedicate a portion of that field as a final resting place for those who here gave their lives that this nation might live. It is altogether fitting and proper that we should do this. But, in a larger sense, we can not dedicate... we can not consecrate... we can not hallow—this ground. The brave men, living and dead, who struggled here have consecrated it,far above our poor power to add or detract. The world will little note, nor long remember, what we say here, but it can never forget what they did here. It is for us the living, rather, to be dedicated here to the unfinished work which they who fought here have thus far so nobly advanced. It is rather for us to be here dedicated to the great task remaining before us... that from these honored dead we take increased devotion to that cause for which they gave the last full measure of devotion... that we here highly resolve that these dead shall not have died in vain...that this nation, under God, shall have a new birth of freedom... and that government of the people... by the people... for the people... shall not perish from the earth.
—Abraham Lincoln
これをすべて丸暗記しており、クイズで問われた瞬間に第一文を誦(そらん)じたことがきっかけでみなさんから注目していただくようになり、本の執筆や学習塾経営にもつながっていきました。
私はもともと丸暗記をするのが好きで、好きな漫画の気に入ったシーンなどもセリフを全部覚えて自分で再現していました。自分では変わった趣味だと思っていて、とくに頭のいい人の特徴だとも思っていなかったのですが、『さんまの東大方程式』(フジテレビ系)に出演したとき、その考えは一変しました。
ある東大生が、アニメ『名探偵コナン』の第〇話、第■話、第△話と指定したシーンを全部覚えていて、その場で再現したのです。
ある京大生は、USJのアトラクションの最初の口上を全部覚えていましたし、別の東大生はディズニーランドの口上を披露していました。
すると、それを聞いていたほかの出演者が「私も〇〇が言えます」「私も」と、次々と言い出しました。あまりにもみんなが言い出すので収拾がつかなくなってしまったくらいです。
そのとき、思ったのです。丸暗記グセは、決して変わった趣味ではなく、東大生・京大生にとっては当たり前のことなんだ、と。出演者たちの間にも「みんな丸暗記が好きなんだね」という共感の空気が広がっていました。頭のいい人は覚えることに魅力を感じているんだと改めて感じたできごとでした。
普通ならとても覚えられないような量を、なぜそこまで丸暗記できるのでしょうか。
答えは単純明快です。好きだから、です。
好きだから楽しくて没頭し、楽しみながら覚えてしまうのです。
これは何も頭のいい人に限ったことではなく、たとえば、ものまね芸人などもそうでしょう。ものまねする相手のことが好きだからこそ、より本人に近づこうと研究を重ね、長いセリフも覚えられるのだと思います。その過程は決して苦ではなく、楽しいもののはずです。
学生時代、友人たちと家で麻雀をしているときに、私は麻雀漫画が原作のアニメ『闘牌伝説アカギ』の第1話のナレーションを丸暗記してしゃべっていました。
24分ほどもある長いセリフを淀みなく言うので、みんなが「すごい!」と盛り上がり、楽しくてしかたがなかったという思い出があります。
本当のことを言えば、漫画の1シーンを丸暗記しても何の意味もありません。ただの自己満足といえばそれまでです。
けれども、この覚えることの快感、楽しくて没頭する感覚は、勉強で何かを覚えるときに必ず役に立ちます。
漫画でもドラマでも、好きなものを丸暗記してみてください。
そもそも勉強だったら、大事な箇所だけ覚えておけばいいのですから、丸暗記できる力があれば、勉強なんて楽勝なのです。