止まらない離職者、信頼は地に落ちる
ハラスメントは被害者の人生、行為者の人生をめちゃくちゃにしてしまいます。
それと同時に事業も破壊します。事業への影響でいちばん大きいのは離職者の増加です。行為者は、自覚がないために、離職者が増加する理由がわかりません。周囲は気づいていても上司に対して「あなたのパワハラのせいでAさんは辞めた」などと言えません。
社長がパワハラに気づかないこともあります。行為者と同じ時代に生き、同じ仕事の仕方をしてきたためです。こういう社長は社内からパワハラ通報があっても、「部長は一生懸命に部下を指導してくれて、結果も出している」「私が社員に対して言えないことを言ってくれる」などと放置してしまいます。
放置すると、パワハラはエスカレートします。被害が深刻化し退職者が止まらなくなります。さらにある日突然、自殺者や失踪者が出ます。
また、パワハラはSNSで拡散する時代です。社員や社員の家族のTwitter への書き込みが数万回もリツイートされて、社内のハラスメントがあっという間に社会に広がります。テレビやラジオの報道はネットの炎上を追いかける傾向にあり、ニュースやワイドショーなどで繰り返し報じられます。こうなると会社のイメージは最悪になります。
就職活動をしている人はネットの掲示板を必ずチェックします。ハラスメント情報が書き込まれている会社の評判は悪くなり、応募しません。
現在、仕事は余っています。今後も労働人口は減っていきますから、ハラスメントが行われている会社にわざわざ応募する人はいません。離職者増加、応募者ゼロで、やがて会社から誰もいなくなります。
経営者、ハラスメント対策の担当者は、企業の「パワハラ防止法」への対応策だけでなく、職場からパワハラやセクハラをなくす方法や、実際にパワハラやセクハラが起きた場合の実務的な内容についても合わせて知っておく必要があるでしょう。
次回は、パワハラ行為者のタイプ別対処法についてお伝えします。