大人の「根回し」は永遠に続く!?

『これからの会社員の教科書』著者の田端信太郎さんと『入社1年目の教科書』著者の岩瀬大輔さんお互いの著書の「共通点」を探す岩瀬大輔さん(写真左)と田端信太郎さん(写真右)。

田端 ただし、かちこみに行くこと自体は悪いことではないんです。

岩瀬 そうなんですか?

田端 くどいようですが、根回しが大切。でないと、担当者は、上から叱られるんですよ。先程の例で言うと、「岩瀬くんが、革新的なことをやろうとしているのに、君らは何をやっておるのだ!」みたいな叱られ方をするんです。

岩瀬 そういうことですか…。こうしたやりとりは、あと何年続きますかね?

田端 永遠に続くと思います。

岩瀬 人間組織の原理というか、人間の性というか…。

田端 まさしくそうですね。

岩瀬 田端さんが書かれていた「お詫び訪問は『コント』である」という一文も、読者を勇気づけると思いました。管理職の仕事って、部下をフォローすることじゃないですか。自分が悪くなくても謝罪に行かないといけない。正直、厳しい仕事ですよね。でも、俳優になりきってお詫び訪問を「コント」として臨めば、気が楽になる人は多いのではないかという。目から鱗でした。

田端 なかなかできることじゃないですよね。アメリカのドナルド・トランプ大統領なんて、ビジネス的にいうと「めんどくさいおっさん」そのものです。正直、当選した当初は全世界が「あちゃーー!」と思ったはずなのに、日本の安倍晋三首相はいの一番にトランプさんに会いに行きました。正直、安倍首相は気が重かっただろうと思うんですけど、2泊3日の訪日で7回食事したとか、すごくないですか。

岩瀬 たしかに、そうした名サラリーマンもいるわけで。お詫び訪問を、自分の見せ場にするような。

田端 お詫び訪問だけは、対面ですっ飛んでいって、しかもなるべく早めにえらい人を出してカードを切るだけ切っちゃったほうが絶対いい。

岩瀬 たしかに、そうですね。

田端 ただし、何から何まで「白紙委任状」をあげると、それを逆手に取って、「3倍返しだ」「もっと金払え」と言ってくる会社がないとは言いきれませんので、何をどこまでお詫びするかみたいな定義を、あらかじめ社内で揉んでおく必要があります。