ついに世界で死者数が10万人を超えた新型コロナウイルス。世界各国で猛威を振るうウイルスに、日本はどう立ち向かうべきなのか。未曽有の事態での意思決定を考えるとき、9年前の東日本大震災の教訓が生きてくる。(エッセンシャル・マネジメント・スクール代表 西條剛央)
3月11日の「校庭」と重なる
コロナクライシスに直面した日本
今、新型コロナウイルスの脅威にさらされている日本は、助かるはずの命が助からなくなるか否かの分岐点にあります。これは、東日本大震災以来の危機的状況といってよいでしょう。
あの日、1000年に一度といわれる巨大津波によって多くのライフ(命、生活、人生)が奪われました。しかしこの新型コロナウイルスに関しては、100年に一度のパンデミックとはいえ、日本は甚大な被害を食い止められる可能性があります。
今回の新型コロナウイルスの問題は病理的な問題であることは論を待ちませんが、他国の状況を見てもわかるように、組織の意思決定が、その被害をどれだけ軽傷で済ますことができるか、あるいは甚大な被害を出すかを分けています。
つまり、これは「クライシスマネジメント」の対象です。人や組織の命がかかった危機的状態をどう判断し、行動するのかが問われています。
私は感染症の専門家ではありませんが、本質行動学を専門としており、東日本大震災の大津波によって74人の児童、10人の教員が亡くなった宮城県石巻市立大川小学校の研究を行い、国連防災世界会議で発表したことがあります。
今の日本は、ちょうど50分もの時間がありながら避難できなかったあの3月11日の大川小の「校庭」と重なっており、そこから得られた教訓には、今の日本のコロナクライシスを乗り越えるために役立つものが多々あると考えています。