予約激減だけでなく
キャンセル率も高騰の二重苦
続いて、キャンセル率の推移を確認しよう。前年は10%代前半で安定しているが、2月下旬には20%超に跳ね上がり、4月には50%を超えるまでに上昇する。予約件数も落ち込んでいるのに、さらにキャンセルも多いという二重苦だ。
また、3月のキャンセル率を1~5人の少人数と6人以上の大口で分けると、後者が高い。飲食店にとっては重要な収益機会である、送別会などのパーティー需要が一気に下がったことを示している。
厳しい状況でも生き残りを図ろうと、外食産業はさまざまな取り組みを続けている。ウーバーイーツなどによるデリバリー、弁当販売も含めたテークアウト、看板商品を通販で販売、さらには営業再開後に使える食事券を前売りする応援プランといった新たな手法を導入しているお店が多い。
新たな取り組みは外食産業を救えるのだろうか?
「厳しいです」。そう率直に認めるのは目黒、渋谷という東京都内の一等地で若者向けのレストラン、バー3店舗を展開するバレルの羽田善行社長。同社が経営するイタリアンダイニング「8528」の矢吹昌也店長とともに、ビデオ会議アプリでの筆者の取材に応えてくれた。
年度の変わり目でパーティー需要が高い3月は貸し切りの予約が多いが、ほぼすべてキャンセルになったという。4月には緊急事態宣言を受けて営業休止を決めた。羽田社長は「飲み屋など夜の営業への風当たりが非常に強かったですからね。また渋谷はビジネス街ではないので、自粛ムードで完全に人が消えたという理由もあります。店を開けていても商売になりませんので。緊急事態宣言が終わってもすぐにお客さんが帰ってきてくれるとは思っていません。渋谷は最初に人がいなくなったので、帰ってくるのも最後だと思うんです」と冷静に分析する。
では、会社の生き残りのために何かできることはあるのだろうか?