ビタミンD値はCOVID-19の罹患率や転帰に関連する?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防や死亡率低下にビタミンDが有効なのではないかとの仮説が提唱されているが、その可能性を支持する新たな2件のデータが報告された。
一つ目のデータは、英国の研究者らにより「Aging Clinical and Experimental Research」オンライン版に5月6日報告された。欧州20カ国の国民の平均ビタミンD値とCOVID-19への影響との関連を検討した結果、ビタミンD値が高い国ほどCOVID-19の罹患率、死亡率が低いという、負の相関が認められたとしている。イタリアやスペインなど南欧の人々は、皮膚の色素が濃いためビタミンDの合成量が少ないと考えられ、その一方で、北欧の人は肝油やビタミンDサプリメントを摂取していることが多いと、研究者らは述べている。
二つ目のデータは「medRxiv」オンライン版に4月10日掲載されたもので、査読はされていない。米ノースウエスタン大学のAli Daneshkhah氏らが、米国を含む10カ国のデータを解析したところ、ビタミンD低値と過剰な免疫反応との関連が認められたという。この知見により、COVID-19による小児の死亡率が低い理由など、いくつかの疑問を説明できると研究グループは述べている。
しかし、オークランド大学(ニュージーランド)のMark Bolland氏は、どちらの研究も因果関係を裏づけるものではないと指摘する。「ビタミンD低値と疾患の関連を示した研究はいくつもあるが、ビタミンD値を上げれば病状が改善するとは限らない」と同氏は述べ、「平均ビタミンD値が低い一部の国で、そのことがCOVID-19の罹患率や死亡率が高い理由だとするのは、あまりに短絡的だ」としている。