金融の完全子会社化の是非
米GEはリーマンで大痛手

 前述のように、ソニーは金融持ち株会社のソニーフィナンシャルHD(傘下にソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行)を完全子会社化する方針を示した。ゲーム事業、半導体事業、エレキ事業と肩を並べ、バランスよく利益貢献させるイメージだ。

 吉田社長は、「コア事業であるからこそ、ここ数年で複数回にわたり持ち分比率を引き上げた」と説明した。だが、2代前のCEO、ハワード・ストリンガー時代は非コア事業と位置付けられ、だからこそ07年に上場子会社となった経緯がある。ソニーフィナンシャルHDにしてみれば一連の扱いはソニーの“ご都合主義”以外の何物でもないだろう。

 それはさておき、金融事業への注力で思い起こされるのは米GE(ゼネラル・エレクトリック)の失敗だ。

 周知の通り、GEは08年のリーマンショックで、当時収益の柱になっていた金融事業が大ダメージを受け、その後、「メーカー回帰」に向かった。

 ソニーフィナンシャルHDの主力事業は個人向けの生命保険(ソニー生命)であり、中小企業向け融資やクレジットカードが主力だったGEの金融事業とはかなり異なるのは確かだ。金融事業とソニーが持つテクノロジーとのシナジーなど、吉田社長の説明にも一定の説得力はある。

 ただし、GEは金融事業の大ダメージから大構造改革を進め、数年後には創業以来続いた家電事業を売却した。

「多様性による経営の安定性」を強調する吉田社長によもやそのようなことはないだろうが、メーカーが金融事業に深入りすると足下をすくわれることを、歴史は教えている。