存在感がないのはNG!会議で生き残る方法Photo:Ioulia Bolchakova/123RF

映画に誘われたとき、「今週末は、ちょっと……」と語尾を濁せば都合が悪いことが伝わる。「箱根か草津に行かない?」と言えば、おのずと温泉に入ることが前提になっているとわかる。言葉に全部出さなくても察し合える――これは日本ならではの高文脈のコミュニケーションであり、グローバルでは通用しない。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

まず、文化の違いを理解する

 会議1つとっても日本と海外でこれほど常識が異なるのはなぜでしょう。その原因を知るために、避けて通れない有名な概念があります。米国の人類学者、エドワード・ホールが提唱した「コンテクスト」というものです。

  コンテクスト(文脈)とは、いちいち言葉に出さなくても話し手と聞き手の間で共有されている、コミュニケーションの前提となる情報です。ホールは、日本はハイ・コンテクスト(高文脈)な社会だと述べています。コミュニケーション中に存在している文脈が多い、人々が常々行間を読んでやり取りしている、あるいは、暗黙の了解がとても多いということです。

 例えば、映画に誘われたとき、「今週末は、ちょっと……」と語尾を濁せば都合が悪いことが伝わりますし、「箱根か草津に行かない?」と言えば、おのずと温泉に入ることが前提となっていることがわかります。言葉に出さなくても察しあえる、それが高文脈の文化です。

 このことは、私たちのコミュニケーションの至るところに影響を及ぼしています。典型的な特徴としては、例えば、「間接的」「曖昧な表現」「言葉すくな(寡黙がよしとされる)」「論理が優先されない」「質問が少ない」などが挙げられます。

  この特徴に良いも悪いもありませんが、問題はローカル・モードの伝達方法のままグローバル社会に出てしまうことにあります。なぜなら、グローバル社会は、高文脈とは真逆の、低文脈な環境だからです。世界中どこの国や地域にもローカルの文脈があり、各々違う文脈をもつ人たちが交わる、それがグローバルという場所です。共通の文脈がほとんどない、超低文脈な環境といってもいいでしょう。