「新しいことをやっていい」と背中を押した

廣瀬:コミュニティの盛り上がりについてもう一つ感じるのは、目指す方向が同じ人同士は、割と意気投合しやすいという点です。「NoMaps」は「新しいことをやって社会を活性化しよう」「若い人のチャレンジを後押ししよう」といった、割と分かりやすい旗印を立てています。そして、その思いに共感した人が集まっている。それが盛り上がる理由でもあると思っています。誰もが目指す方向に納得していて、実際に行動を起こしている人もいる。そういう人が、どんどん混ざっている印象があります。

北海道の大規模カンファレンス「NoMaps」大成功のワケ(前編)

河原:大きな方向性「ビジョン」を共有することは、雰囲気をつくる上でも大切ですよね。結果的に波長の合う人が勝手につながっていきますから。それがコミュニティになるし、継続性にも影響します。共感できるビジョンがあるかないかは、大きいですよね。

廣瀬:役割で言えば、「NoMaps」の事務局が旗振り役です。何か新しいことしようとか、社会を良くしようといった大きな旗を振って、あとはその方向を目指す人同士が手を携えてくれればいい。

 「NoMaps」に参加する人は、青臭いほど真剣に北海道を良くしようと考えています。北海道初で、何か新しいことを始めて社会を良くしよう。北海道にはポテンシャルがある、これまで手付かずだったけれど、同じ目標を持つ人が集まれば大きな動きを生み出せる。そう信じているんです。

藤田:これまでに札幌でそうした動きはなかったのですか。

廣瀬:なくはなかったと思います。ただ「新しいことをやっていいんだ」と考える人は少なかった。東京ならいろいろなチャレンジをする人が常にいて、刺激を受けることも多い。参考になるロールモデルもたくさんいます。でも北海道はそんなに多くないから、誰かが旗を振ってくれないと、自分でブレーキを踏んでしまう人が多いんです。

 だからこそ「NoMap」の意義がある。「みんなでやろう」という旗を振って、「ああそうか」と共感してもらっている、というのがここ数年の変化です。そんな動きが広がっただけでも、「NoMaps」を始めた価値はあると思っています。