著名デザイナーが見直した「それとなく分かる」デザイン
CFOは親会社の三菱商事から出向

ローソンのPB食品パッケージ変更が盛大に滑った裏事情つい外国人風の発音で読みたくなる「TOFU」

 今回デザインを担当したのは、国内外で有名ブランドなどを手掛けた実績を持つ佐藤オオキ氏が率いるデザイン事務所「nendo」である。

 ローソンの一連のデザインについて、「従来のパッケージにあったような大きな商品写真ではなく、優しい印象のフォントとともに中身や原材料などがそれとなくわかるような手描きのイラストをパターン状にあしらうことで、女性層でも手に取りやすい柔らかな表現を目指した」とnendoはホームページ上で解説している。

 そして実は、nendoはローソンの親会社、三菱商事の出資先である。nendoの取締役CFO(最高財務責任者)に名を連ねる濱高朗氏は三菱商事から出向していると、早稲田大学の卒業生を紹介するウェブサイトで濱氏本人が説明している。

 ダイヤモンド編集部は特集「最後の旧来型エリート 商社」の第12回において、三菱商事が2017年2月にローソンを子会社化して以降、ローソンの配当性向を17年2月期の68.7%から18年2月期の95.1%に引き上げ、ローソンから得られるリターンの増額を狙ったことを指摘した。実際、ローソンの純利益の減益が続いた半面、三菱商事が得た投資利益は増加に転じた。

 今回のPBパッケージ一新プロジェクトもまた、三菱商事の出資先のデザイン事務所にローソンが仕事を依頼した形だ。これが消費者からは「毎日忙しい中、買い物時に棚の商品を探す手間と時間をどう考えているのか」(2人の子どもがいる契約社員の30歳代女性)と不興を買い、一部見直しに追い込まれた。親会社の“余計な手出し”ではなかったか。

 減益でもなお三菱商事に配当を巻き上げられた揚げ句、玄人好みの凝ったデザインの開発に1年以上もの時間を費やしてきたローソン。コンビニ加盟店の苦境は19年からクローズアップされており、コロナの感染拡大後はその負担は倍加している。ローソン経営陣や三菱商事は、一体誰の方を向いて仕事をしているのだろうか。

「無印良品」を展開する良品計画は17日、自社の商品を、都内のローソンの3店舗で実験的に販売すると発表した。無印良品の商品はかつて、同じセゾングループだったファミリーマートの店頭で販売されていたが、19年1月をもって終了している。

 ローソンのPB新パッケージはどことなく無印良品を思わせるシンプルさがあるが、無印良品のパッケージはすでに消費者に浸透しており、ローソンの狙いに“二番煎じ”感は拭えない。

 加えてローソンの現場では、何やら行儀の悪さを思わせる動きがある。