200店から拡大、40~50%の賃料減額を地主に要請
加盟店の経営基盤は3社で最も脆弱なローソン

ローソンのPB食品パッケージ変更が盛大に滑った裏事情「SOFT SPREAD」は確かに一見してマーガリンとはわかりづらい

「新型コロナウイルス感染症影響に伴う賃料減額に関するお願い」――。ある西日本のローソン店舗が立つ土地の地主の元へ4月、このように書かれた紙を持ったローソン社員が訪れた。「ごく一部の地主を除いて、全ての地主にお願いをしていますよ」。社員は地主の男性にこう告げたという。

 紙には「減額要望 現在賃料の40%」と書かれていた。社員は男性に対し、他の地主にも40~50%の減額を要請していると話したという。

 本編集部は4月、業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンが全国5000店超の地主に対して、賃料減額を要請していると報じた。当時ローソン広報室は「入居している施設の閉鎖で閉店となっている200店について賃料減額を要請している」と回答していた。

 今回改めて説明を求めたところ「減額要請している店舗数は増えているが、5000店といったほどの規模ではない」と回答。店舗規模は明らかにしなかった。

 ローソンの5月の既存店売上高は前年同月比で10.2%減。外出自粛やテレワークの普及で、オフィス立地の店舗の減収が響いている。加盟店の売り上げ減少は、本部の売り上げの大半を占めるロイヤルティー(経営指導料)収入の減少を意味する。個別の店舗賃料の多寡は加盟店のコストには一切影響しないため、地主への賃料減額要請はあくまで、本部のコスト削減策として行われているものだ。

 ただ本編集部の試算では、ローソンの加盟店は平均的な売上高が1割減少しただけで、オーナーの最終的な取り分である純損益は赤字になる。大手3大チェーンの中でも加盟店の経営基盤はローソンが最も脆弱であり、一部の優良店を除けば、多くのオーナーがぎりぎりまでコストを削減して生活の糧を得ている実態が浮かび上がる。

 著名デザイナーを起用したPBパッケージに凝った揚げ句、盛大に滑ったローソン経営陣と親会社の三菱商事。彼らの目の前には、他に力を割くべき重要な課題があるはずだ。