4ステップでできる
事前準備

◎ステップ1 予約する

 今回の「自筆証書遺言書保管制度」は、ネットで事前予約ができるので、とても便利だ。予約サイトが開設された7月1日に予約すると、数日後に法務省から「遺言書保管手続予約」確認メールが届いた。なお遺言者が保管申請予約できるのは、(1)住民票のある管轄法務局、(2)本籍地のある管轄法務局、(3)所有する不動産の所在地を管轄する法務局のいずれかである。

◎ステップ2 住民票を取得する

 本籍地の記載ある住民票(取得後3ヵ月以内)を1通用意する。住民票はコピー可である。

◎ステップ3 遺言書の保管申請書の作成

 遺言書の保管申請書は法務省ウェブサイトからダウンロードできるので、事前に作成しておけば申請当日の時間短縮になる。書類は原則5枚。「受遺者等・遺言執行者等欄」や「死亡時の通知等欄」など、該当せずに記載しなかったページもすべて当日提出する必要がある。また、様式は法務局(遺言書保管所)の窓口にも備え付けられているので、時間が許せば当日作成も可能であるが、申請日の混雑具合が読めないため事前に作成することをお勧めする。

◎ステップ4 「自筆証書遺言書」の作成

 自らと向き合って遺言書を作成する。多くの読者にとって、遺言書の作成は心理的ハードルが高く、そして時間を要すると感じるのではないだろうか。私は「9マス遺言」形式で作成したので、とてもシンプルな「遺言書」となった。

「9マス遺言」は、法的効力のある「本文」に必要最小限の事項を記載し、「付言」には大切な人への気持ちや自らの生き様、そして自分の思いの丈をしたためるもので、書き進めるにつれて、まるでクロスワードパズルを解いているかのような楽しさがある。私も実際に書いてみて、ある種のトランス状態となって、一気に書き上げることができた。

 この記事をお読みのみなさんには、自筆証書遺言作成に十分な時間をかけ、法的効力が担保されたものになるよう気をつけてもらいたい。自筆証書遺言に法的効力を持たせるための要件は次の4点である。

・遺言者が全文を自分の字で書く(パソコンは不可)
・日付を書く(ただし「○年○月吉日」や「○年○月末日」は無効)
・氏名を自書する
・押印する(認印も可だが実印が好ましい)