WHYを起点にする

 これについて、「3人のレンガ職人」の有名なたとえ話はご存じだろうか。道端でレンガを積んでいる3人の男に、通りがかった男が「君たちは、何をしているんだい?」と尋ねるという話である。

 1人目は、「レンガを積んでいる」と答え、2人目は、「時給をもらうために働いている」と答え、3人目は、「歴史に残る偉大な大聖堂を作っているんだ」と答えたというものだ。

 プロダクトやサービスを売ることを最優先にしてWHATにフォーカスした企業で働く人は、「ひたすら、レンガを積むため」「金銭的報酬のため」に仕事をしている。つまり、「大義」や「意味」を考えずに、ただ単に「作業」をしている状態である。

 しかし、「なぜ、このプロダクトやサービスを行うのか?」「我々は、なぜ我々が理想とする世界/社会を実現したいのか?」というWHYから熟考されたMVVが浸透している企業で働く人は、「歴史に残る偉大な大聖堂を作っている」という企業の存在価値に即したマインドを持てる。

 この話が示唆しているのは、WHYから始めMVVを磨き上げた会社は、メンバーの「内発的動機」や「エンゲージメント(愛着心)」を引き出し、求心力や事業の推進力を高められるということだ。