湘南エリアはしばしばドラマや音楽の舞台となり、知名度は抜群だ。中でも高層マンションが比較的少なく空が開けており、鵠沼海岸に近い藤沢が人気だ。東海道本線、小田急線などの鉄道を使えば、藤沢駅から1時間弱で東京駅や新宿駅まで行ける。交通の利便性だけでいえば戸塚や大船の方が優れているが、こちらは湘南に比べて街が雑多で、湘南でも辻堂や茅ケ崎までいくと利便性で劣ってしまう。

 また箱根などのリゾートにも出やすい。新型コロナウイルス感染拡大の影響で県外ナンバーの車が疎まれる傾向にあるが、箱根であれば同じ神奈川県内なのでハードルが下がる。葉山や逗子まで足を延ばせばおしゃれなカフェも多く、周辺に休日のお出掛けスポットが多い。さらに電車で横浜駅まで30分ほどで行けるため、買い物にも不自由しない。

 以上のような理由で湘南エリアを選ぶ人が増えた。

 こうした購入層は、もともと都心ないし埼玉県の大宮エリアや千葉県の船橋市などで購入を考えていたため、予算が比較的多めにある。リストが扱う物件では、コロナ前は湘南では5000万円前後が売れ筋だったが、コロナ後は6000万円前後で探す人が増えたという。

 湘南エリアの人気が高まっているという点では、分譲マンションにも変化があった。住友不動産の「シティテラス藤沢鵠沼エアーズコート・ブリーズコート」(2019年4月入居開始)はエアーズコート145戸、ブリーズコート87戸の全232戸で、価格は3LDKが4200万円台から。9割弱が契約済みだという。

 これまでの契約者属性は地元の人が8割を占め、その中心が20代、30代の1次取得層と50代以上の2次取得層だった。また、コロナ前のモデルルーム見学の来場者比率は、地元の人の6割に対し県外の人は4割。ところがコロナ後、オンライン見学を導入したことなどから県外が6割となり、地元を上回った。購入契約も順調で残りわずかとなっている。

新築一戸建ての価格が上昇中
千葉と神奈川の郊外で顕著

 購入者層の心境の変化は、千葉県の房総半島エリアにも表れている。

 リストでは、特に南房総の海沿いエリアで高級中古住宅を探す客が急増した。問い合わせ数はコロナ前と比べて5倍になり、南房総市を筆頭に、富津市、館山市、勝浦市、いすみ市の物件でも問い合わせが増えた。

 房総半島は昨年の台風の被害が大きかった地域。その様子が連日テレビで放送されていたため、コロナ前は房総半島エリアの問い合わせは皆無だった。だが、東京湾アクアラインを利用すれば都心にも出やすいため、コロナ後は都心と田舎の2拠点での生活を考えるような富裕層の間で注目された。

 リストに問い合わせてくる客からは、コロナの感染が落ち着くまでの避難用として購入し、その後は従業員の保養施設として使いたいという要望が増えた。そのため物件価格は1億円を超える。移住とまではいえないが、湘南のようなおしゃれな人気スポットよりも、同じ海に近い場所ならプライベート感のある静かな土地を好む。そんな富裕層が房総半島エリアを選択している。