加えて、学生の志向も変化してきた。「大企業に入れば一生安泰という時代ではないので、自分でスキルを身に付けて生き抜いていくという、スキル志向が高まっています。転職を見据え、仕事を通じてさまざまな業界を研究しようと考えてコンサルに入る人も多い。いわば働きながら就活できるという『モラトリアム』の発想です」(同)という。

 高年収で、高いスキルが身に付いて、転職の際にも有利――。そうしたイメージを持つ学生が「なんとなくコンサル」を選ぶようになったのが、人気上昇の裏側にあるようだ。

 ただ、こうした「なんとなくコンサル」の増加に警鐘を鳴らす声も、当然少なくない。大きく三つの問題が持ち上がっている。

人気上昇で市場価値は減少?

 その一つ目が、ミスマッチへの懸念だ。そもそも、コンサルは締め切りや成果に対するプレッシャーが強く、人を選ぶ職業だ。なんとなくでコンサルを選んだ学生では、そうした激務に耐えられない場合も多くなる。そうなると、採用コストをかけたコンサル側にとっても負担だ。実際、MBBの中にはリテンション(離職防止)を課題として対策チームを設ける会社があるなど、コンサル側にとっても人気上昇はうれしいことばかりではないようだ。

 二つ目が元コンサルとしての地位の低下だ。学生が考えるコンサルの「つぶしが利く」イメージはすでに薄れつつある。

「採用を増やせば当然、退職者も増えてくる。いま転職市場には『元コンサル』の肩書が溢れ返っているので、そこでの価値が相対的に低くなっている」と、人材サービス会社関係者。「例えばポストコンサル転職で人気のスタートアップも、高い分析力より行動力のある人材が欲しいという企業が多いので、ここでも転職後のミスマッチが起きやすい」(同)。コンサル出身なら転職先は選び放題といったような発想だと、転職時に困ることになりかねない。

 三つ目は人材の質だ。ある現役コンサルタントは、採用増による質の低下を懸念する。「明らかにレベルが低いわけではないけど、研修や上司のフォローの体制が弱まるし、その意味で質が下がるのではないかという懸念がある。そもそも、戦略系であっても実際は実行支援とか業務系の仕事も多く、そうした『ぬるい』仕事で期待したような成長ができるかどうかは疑問」と言う。「資料の作成といった一般的なスキルや、成果にこだわるマインドセットなどは確かに身に付くが、2~3年で辞めるなら高い専門性が身に付くわけでもない。やっぱり、自分がどれだけ努力するかが試されるので、コンサルに入ったらばら色といった『過度な夢』は持たない方がいい」(同)。

 かつては限られた「尖った」人材が行き着く場所だといわれたコンサル。だが、人気上昇と大衆化によって「優等生」化が進んだ結果、もはや希少性の高い「逆張り」が利く職種ではなくなりつつある。コンサルの未来を担う志望者は、なぜコンサルを選ぶのか、改めて強い志が求められている。

Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic by Kaoru Kurata