SDGsをビジョンだけではなく
オペレーションレベルで体現しているEverlane

 また、今の時代はSDGsの要素を吟味して、ビジョンに取り込むことも有効だろう。SDGsとは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2015年9月の国連サミットで採択)にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標のことだ(下図)。

自分たちが描く理想の未来から逆算してビジョンを策定する

 17のゴール・169のターゲットから成っている。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを宣言している。SDGsで描かれている世界観へのシフトは、5~10年単位というスパンのトレンドの変化というレベルではなく、50~100年単位での社会システム全体の変化である。

 しかし、実際にSDGsが実現されていくのは、少し先の未来になるだろうが、その未来を思い描いて、「バックキャスティング」(=現在の延長線に未来を描くのではなく、理想の未来を決めそこから逆算して、今必要なことは何かを考える)してみると、ビジョンの鮮明さが増すかもしれない。

 日本では無名だが、SDGsをビジョンだけではなくオペレーションレベルで体現しているEverlane(エバーレーン)というアメリカの小売業者のD2C(Direct to Consumer)スタートアップがある。

 彼らが掲げている「我々は誰でも違いを生み出せる(We can all make a difference)」というビジョンをベースにして、徹底した価格の透明性と環境配慮を追求している(製造にかかったコストや移動にかかったコストを透明にする。また、デニム製造でどれくらい水をリサイクルしているかを示している)。

 このビジョンとブランドコンセプトに共感して、特にミレニアル世代やジェネレーションZ世代から、多くの支持を集めているのだ。