長い昼寝は寿命を縮める?
一般的に、健康的な習慣と見なされている昼寝だが、1時間以上の昼寝は、心血管疾患や全死亡のリスク上昇を招くとする研究結果が、バーチャル開催された欧州心臓病学会(ESC 2020、8月29日~9月1日)で報告された。研究を実施した広州医科大学(中国)のZhe Pan氏は、「われわれの研究結果は、昼寝はパフォーマンス向上をもたらし、睡眠負債による悪影響を緩和するという通説に疑問を投げ掛けるものだ」と話している。
Pan氏らは、2019年12月までに発表された、昼寝と心血管疾患、および/または全死亡リスクとの関連を検討した研究論文のシステマティックレビューを実施し、基準を満たした20件の研究論文を基に解析を行った。解析対象者の総計は31万3,651人(女性が57.8%)で、このうち38.9%に当たる人が昼寝の習慣を持っていた。
解析の結果、昼寝を1時間以上する習慣のある人は、昼寝の習慣がない人に比べて、心血管疾患の発症リスクが34%、全死亡リスクが30%高いことが明らかになった。夜間の睡眠時間を考慮して解析すると、夜間の睡眠時間が6時間以上の人においてのみ、1時間以上の昼寝が全死亡リスクの上昇と有意な関連を示した(ハザード比1.13、95%信頼区間1.03〜1.24)。全体的には、昼寝の長さにかかわらず、昼寝の習慣がある人では、習慣がない人に比べて、全死亡リスクが19%増加していた。さらに、この関連は、女性と65歳超の高齢者で顕著であり、全死亡リスクはそれぞれ、22%、17%増加していた。
では、昼寝はどのような機序で体に影響を及ぼすのだろうか。