需要に対して供給が(圧倒的に)不足しているセグメント(WHAT、WHEN、WHERE、WHOの切り口で検討)はどこか?
株式会社ユニコーンファーム 代表取締役社長
1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育技術)のスタートアップの3社、米国でECプラットフォームのスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動する。日本に帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルのベンチャーパートナーを務めた。日本とシリコンバレーのスタートアップ数社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めながら、ウェブマーケティング会社ベーシックのCSOも務める。2017年、スタートアップの支援会社ユニコーンファームを設立、代表取締役社長に就任。著書に『起業の科学』(日経BP)、『御社の新規 事業はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)、『起業大全』(ダイヤモンド社)がある。
もう一つセンターピンをうまく見つけた事例を紹介しよう。初期のエアビーアンドビーだ。
エアビーアンドビーは、最初にサービスをリリースするとき、都市/エリアで絞るのではなく大統領選、ミュージックフェスティバル、大規模カンファレンスなどのイベントをターゲットに絞った。
多くの来客が見込まれ、ホテルの部屋が足りなくなる仮説が確からしいと考えて、そこを狙ってプロモーションを展開したのだ。
彼らが最初に狙ったのは、コロラド州デンバーだった。数万人収容できるスタジアムを貸し切りにした大統領候補演説会(2008年オバマ前大統領が候補になったとき)が行われるデンバーはホテルが数千室しかないため、宿泊場所が足りないのは明白だった。
その目論見は的中し、エアビーアンドビーは多くの人に利用された(その実証結果をベースにして、シリコンバレー最強のアクセラレーター Y コンビネータからの支援を得ることに成功した)。
このように、市場機会を発見するときはアマゾンのベゾスが問いかけた質問、「どの商材」というWHATだけでなく、WHEN(どのようなイベント/タイミング)で機会を探るのも有効になる。
つまり、センターピンを見つけるポイントとしては、「需要に対して供給が(圧倒的に)不足しているセグメント(WHAT、WHEN、WHERE、WHOの切り口で検討)はどこか?」を念頭において検討するということだ。