年収1000万円の大不幸#9
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かつて「年収300万円でも大丈夫」と広告されていた不動産投資が近年、一変した。「年収1000万円以上に限られてきた」との声すら業界から聞かれる。その背景にあるのは、金融機関の融資厳格化と高年収者に対する“裁量”だ。特集『年収1000万円の大不幸』(全13回)の#9では、不動産投資家の年収1000万円以上の割合が増加した背景について探る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

不動産投資の不祥事発覚で
金融機関の融資が厳格化

「当社のメイン顧客の年収は1000万円以上。それでも一定基準に満たなければ、ローンを組む際に頭金をもらう」

 ある投資用不動産販売会社の幹部は、こう言い切る。少し前の不動産投資業界とは、ずいぶん様変わりしたようだ。

 2013年のアベノミクスによる金融緩和を背景に、不動産投資市場は急速に伸びた。かつて不動産投資といえば、地方の農地などを持つ地主の土地活用が多く、富裕層がメインプレーヤーだった。

 しかし金融緩和により、金融機関は貸せる範囲を広げて、普通のサラリーマンでも金を借りやすくなった。物件価格の全額を借りられる「フルローン」や、全額プラス購入時の諸経費も含めて借りられる「オーバーローン」が組みやすくなったことで、自己資金が少なくても投資できるようになったのだ。

 そのため参入のハードルが下がり、いわゆる「サラリーマン投資家」が一気に増えた。かつては「年収300万円でも投資家になれる」「頭金なしでもOK」といううたい文句が、広告やセミナーなどで飛び交っていたほどだ。

 こうした経緯で、低年収でも不動産投資家になれる時代が訪れていた。

 だが、光ある所には影がある。18年ごろ、不動産投資で不祥事が次々発覚したのだ。