ワークマン仕掛け人が明かす<br />「できる人」の5大定義!<br />データ活用ゼロの会社を<br />10期連続最高益にした秘密

閉店や撤退が相次ぐアパレル業界で絶好調なのが、作業服専門店のワークマン。
「高機能・低価格」という4000億円の空白市場を開拓し、10期連続最高益を達成。
ついに国内店舗数でユニクロを抜いた。
その躍進の秘密が、「しない経営」にあるという。
残業しない、ノルマを課さない、期限を設けない、社員のストレスになることをしない、社内行事をしない、極力出社しない、接客しない、競争しない、値引しない。
とりわけ「頑張る」ことはしないどころか禁止。
この型破りな「しない経営」を実現したのが、ワークマン急成長の仕掛け人・土屋哲雄専務。このたび、土屋氏の経営理論と実践がすべて詰め込まれた白熱の書『ワークマン式「しない経営」――4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』が大きな話題となっている。今回は、稀代のマーケターで経営者の土屋さんに、データを徹底活用した人材育成術について伺った。(聞き手&構成・川代紗生/撮影・疋田千里/編集・寺田庸二)

「仕事ができる」とはどんな人?

──土屋さんはワークマン社員にどんなスタンスを求めていますか?

土屋さんにとって、「仕事ができる人」の定義を教えてください。

土屋哲雄(以下、土屋):次の5つができる人だと思います。

1.今、「何をやる」べきかの課題を見つけられる人(課題の発見
2.仕事のテーマを見つけて、自発的に行動する人(課題を改善
3.自分の間違いを認め、人の意見を吸収できる人(知恵集め
4.私の間違った意見や見方を修正してくれる人(主張
5.自分の仮説をデータで検証し、全国標準を書き換えられる人(実験

ワークマン仕掛け人が明かす<br />「できる人」の5大定義!<br />データ活用ゼロの会社を<br />10期連続最高益にした秘密土屋哲雄(つちや・てつお)
株式会社ワークマン専務取締役
1952年生まれ。東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社。プロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「エクセル経営」を持ち込んで社内改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス(WORKMAN Plus)」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞、会社として「2019年度ポーター賞」を受賞。2012年、ワークマン常務取締役。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。「ダイヤモンド経営塾」第八期講師。これまで明かされてこなかった「しない経営」と「エクセル経営」の両輪によりブルーオーシャン市場を頑張らずに切り拓く秘密を『ワークマン式「しない経営」』で初めて公開。本書が初の著書。ダイヤモンド書籍オンラインでも大好評連載継続中。

「How to」より「What to」何をすべきなのかが、わかる人が「できる人」です。

経営課題を発見でき、改善し、知恵を集められる。きちんと知恵を集めた結果、仮説を検証・実験し、標準化まで持っていけるか。自分だけの考えではなく、会社全体の考えとして体系的に標準化ができるかですね。

まず、課題を発見できることが一番重要なので、私もいろいろな社員に「今、何の問題がありますか?」と聞くようにしています。

問題発見できる人は、課題解決に進むからです。

課題を見つけるのは、意外と難しい。そもそも、改善意欲がないと発見しませんから。

だから、私が2年間、じっくりと計画を練っていた頃は、何が問題なのかをみんなに聞いていました。