創価学会 90年目の9大危機#8Photo:Diamond, Santiago Urquijo/gettyimages

SNSなどを通じて学会への不満を書き込む学会員や元学会員たちが後を絶たないが、聖教新聞の写真や記事を無断で使用するケースに対して、学会側が重大な権利の侵害だとする事例が頻発しているという。中には訴えられる例もあり、被告となった元学会員は嫌がらせ目的で起こす「スラップ訴訟」だと憤っている。特集『創価学会 90年目の9大危機』(全16回)の#8では、どのようにして訴訟されるに至ったのか、そのさまを克明にレポートする。(ダイヤモンド編集部「創価学会特集取材班)

公明党は福祉の党ではなく利権の党だと
主張する元学会員たちの“小さな声”

 11月15日、よく晴れた日曜日の午前。東京のJR十条駅前には、白いプラカードを持った数人の男女が集まっていた。そこには「さよなら公明党」という文字と共に、赤、黄、青の3色が描かれていた。

 程なくして男女数人は、マンションや団地などが立ち並ぶ住宅街の中を練り歩き始めた。そして、時折立ち止まっては、マンションや通行人に向かい、拡声器を通して声を張り上げた。

「公明党はGo Toキャンペーンを実施し、コロナを全国に広めています。公明党は福祉の党ではなく、利権の党です。われわれは公明党の政権参加に反対します」

 行進する彼らに対し、プラカードに目を留めた通行人が声を掛けてくるケースが思いの外目立った。

 犬の散歩中の中年男性は「私もそのプラカードに賛成だよ」と言い、20代と思われる若者は「頑張って!応援していますよ」と話し掛けるといった具合だ。

 “小さな声”ながらも、日曜日に自宅でくつろぐ一般市民や公園で子どもを遊ばせている親、通行人などに彼らの主張は届いたのかもしれない。

 この数人の男女は言わずもがな、創価学会の元学会員たちだ。池田大作名誉会長の教えである平和主義・人道主義を学び、長らく学会の活動にいそしみ、選挙運動を支援してきた人々である。

 ところがだ。「実際に公明党が行っていることは池田先生の教えと異なってきており、疑問を感じている学会員が少なくない」(古参の学会員)という。そう感じているうちの一人が、今回の行進にも参加した元学会員の天野達志氏だ。

 実はこの天野氏は、元学会員や、現在の学会執行部や公明党に批判的な現役学会員の間で話題になっている、「相手に苦痛を負わせる目的で起こす『スラップ(嫌がらせ)訴訟』の被害に遭っている」(天野氏)という人物なのだ。