会社経営の原点は持続可能性
林教授 最も効果的にROEを高めるには、市場に流通する自社の株式を買えばいいよね。これは自己資本を直接減らす効果がある。アメリカには、借金して自社株買いを進め、その結果、債務超過に陥ってしまった会社が少なくないんだ。
カノン 先生、債務超過って何でしょうか?
林教授 会社の負債の総額が資産の総額を超える状態のことだ。
カノン 借金のし過ぎですね。でも、しっかりした会社はそんなことはしませんよね?
林教授 さあどうかな。新聞に「レバレッジ経営」というこんな記事が載っていた。
カノン どちらも超有名な会社ですね。
林教授 誰でも知っている会社だ。言うまでもないことだが、会社経営の原点は持続可能性なんだよ。今回のコロナ禍によって、株主のご機嫌取りのためにROEを重視しすぎて、財務体質を犠牲にしてきた会社が窮地に陥っている。経営者の信念が問われているといえるね。
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。